「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔3〕(R-Cフィルターのボード線図作成法)
今回は、前回の「R-Cフィルター回路」の記事で求めた「入出力特性」の式から、Excelを使ってボード線図を作成します。
前回記事の回路図と入出力特性の計算式
最初に「R-Cフィルター回路」を下に示します。

次に、この「フィルター回路」の「入出力特性」を表す式を下に示します。
$$\displaystyle\frac{v_o(t)}{v_i(t)} =\displaystyle\frac{1}{1+(\omega CR)^2}-j\displaystyle\frac{\omega CR}{1+(\omega CR)^2} $$
これは前回、下記の記事で求めた式です。
「「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔2〕(R-C)」
この式に、「\(\omega = 2 \pi f\) 」を入れて計算しやすい形に変形します。
$$\displaystyle\frac{v_o(t)}{v_i(t)} =\displaystyle\frac{1}{1+(\omega CR)^2}-j\displaystyle\frac{\omega CR}{1+(\omega CR)^2} $$
$$\displaystyle\frac{v_o(t)}{v_i(t)} =\displaystyle\frac{1}{1+(2 \pi f CR)^2}-j\displaystyle\frac{2 \pi f CR}{1+(2 \pi f CR)^2} $$
この式の実数部と虚数部を下記に示します。
実数部:\(\displaystyle\frac{1}{1+(2 \pi f CR)^2}\)
虚数部:\(-\displaystyle\frac{2 \pi f CR}{1+(2 \pi f CR)^2}\)
これらの式を使って、次の項でボード線図を描いていきます。
ボード線図のグラフ用の表作成
ボード線図は、下記の値で作成します。
・電圧振幅(Vpeak):10V(今回は使いません)
・抵抗(R):1Ω
・コンデンサー(C):10μF(=0.00001F)
・周波数(f):0.1kHz ~ 1000kHz
作成するボード線図は、横軸が周波数です。
周波数は、0.1kHzから約10%ずつ上げていき、最終的には1000kHzまで上げます。
下に、作成したExcel表の外観を示しますが、周波数は「B列」に記載しています。

この表の大まかな説明ですが、最初に計算するのは「⑤ 減衰量@実軸」と「⑥ 減衰量@虚軸」です。
「⑤」と「⑥」を合わせた「④ 減衰量」は、「⑤」と「⑥」をそれぞれ2乗し、それらを足し合わせて平方根を求める、「二乗和平方根」により計算します。
最終的にグラフを描くときに使用する「② 減衰量(dB)」は、下記の式で求めます。
● ② 減衰量(dB)➡ \(20\log (④)\)
「③ 位相差」は、座標上の横軸に「⑤ 減衰量@実軸」、縦軸に「⑥ 減衰量@虚軸」を置き、横軸を基準にした「⑤」と「⑥」を足し合わせた線の角度を、「\(\tan^{-1}\) 」で計算します。
「\(\tan^{-1}\) 」は「\(\tan\) 」の逆関数で、縦と横の長さから角度を計算することができる関数で、「\(\arctan\) (アークタンジェント)」とも表現します。
「③ 位相差」は、下記の式で求めます。
● ③ 位相差(deg)➡ \(\arctan \left(\displaystyle\frac{⑥}{⑤}\right) \)
それでは、このExcel表の中で使用している計算式を具体的に説明していきます。
最初に、表の計算式の全体イメージを下に示します。

この表の計算式を、順番に説明します。
〔① 周波数(kHz)〕

最初は左端の「① 周波数」で、グラフの横軸になります。
周波数は「0.1kHz」から始まるので、「セルB7」は「0.1」です。
「セルB8~B30」は、それぞれのセルの上のセルの値を1.1倍します。
「セル31」は、そのまま1.1倍すると0.98…ですが、「1」にします。
「セル32~54」は、再び上のセルの値を1.1倍します。
「セル55」には、「10」を入れます。
「セル56~78」は、上のセルの値を1.1倍します。
「セル79」には、「100」を入れます。
「セル80~102」は、上のセルの値を1.1倍します。
最後は「セル103」に、「1000」を入れます。
今回は1.1倍にしましたが、1.05倍などにしても構いません。
参考として、「セルB8~B30」の入力手順を一つ説明します。
① 「セルB8」に「=B7*1.1」と入力します。
② 「セルB8」を右クリックして「コピー」を左クリックします。
③ 「セルB9」を左クリックしたまま「セルB30」まで下に移動して指を離します。
④ ③で指を離した「セルB30」の位置で右クリックし、「貼り付けのオプション:」の下の左端のアイコンを左クリックします。
そうすると、「セルB9~B30」のそれぞれのセルに式が入力されると思います。
〔⑥ 減衰量@虚軸〕
「⑥ 減衰量@虚軸」の計算式は下になります。
⑥ 減衰量@虚軸 \(=-\displaystyle\frac{2 \pi f CR}{1+(2 \pi f CR)^2}\)
この式を、Excelで使用する計算式に書き換えると下の図のようになります。

「セルG7」で式を説明すると、「\(\pi\) 」は「PI()」と表します。
「B7」は、「① 周波数(kHz)」の「セルB7」の「0.1(kHz)」なので、「*1000」で1000倍して「100(Hz)」にします。
その後の「$C$4」と「$C$3」は、それぞれ「セルC4」と「セルC3」の「Cの容量値」と「Rの抵抗値」です。
「$」の記号を付けると、その直後の「C」や「4」は、「セルG7」を他のセルの位置にコピーしても、「C」や「4」は変化しません。
「$」の記号を付けていないと、「セルG7」を他のセルにコピーしたときに、セルの中の「行の値」と「列の英字」は、コピー先の「セル」の「行」と「列」の差分だけ変化します。
文章での説明がちょっと難しいので、式を入れたセルを他の場所にコピーして、セルの中がどう変化するか確認してみてください。
この機能を使えば、「セルG7」に上の式を入力し、それを下方向にコピーしていくと、「① 周波数(kHz)」の値が入る「B7」は、一つ下では「B8」に、その一つ下では「B9」になるので、表の作成が容易になります。
分母にある()内の2乗は、「()^2」と書いて2乗にします。
「セルG7」の式がコピーできるよう、式を下に文字列で貼り付けておきます。
=-1*(2*PI()*B7*1000*$C$4*$C$3) /(1+(2*PI()*B7*1000*$C$4*$C$3)^2)
〔④ 減衰量と⑤ 減衰量@実軸〕
「④ 減衰量」と「⑤ 減衰量@実軸」の計算式は下になります。
④ 減衰量 \(=\sqrt{⑤^2+⑥^2}\)
⑤ 減衰量@実軸 \(=\displaystyle\frac{1}{1+(2 \pi f CR)^2}\)
これらの式を、Excelで使用する計算式に書き換えると下の図のようになります。

「セルE7」には「√ 」の計算がありますが、ここでは「()^0.5 」で計算しました。
「セルF7」の式は、下記になります。
=1/(1+(2*PI()*B7*1000*$C$4*$C$3)^2)
「セルE7」の式は、下記になります。
=(F7^2+G7^2)^0.5
〔② 減衰量(dB)と③ 位相差(deg)〕
「② 減衰量(dB)」と「③ 位相差(deg)」の計算式は下になります。
② 減衰量(dB)\(=20 \log (④)\)
③ 位相差(deg)\(=\arctan \left(\displaystyle\frac{⑥}{⑤}\right) \)
これらの式を、Excelで使用する計算式に書き換えると下の図のようになります。

「セルC7」では、底が10の「log」を計算する関数(10を何乗したら()内の値になるかを求める関数)を使って計算しますが、Excelの関数では「LOG10() 」を使います。
この関数を使うと、「セルC7」の計算式は下記になります。
=20*LOG10(E7)
「セルD7」では、座標の横軸が「⑤」、縦軸が「⑥」で、「⑤」と「⑥」を足し合わせた線の角度を計算するので、Excelの関数では「ATAN()」を使用します。
この関数を使うと、「セルD7」の計算式は下記になります。
=ATAN(G7/(F7+1E-30))/PI()*180
本来なら「=ATAN(G7/F7) 」ですが、分母が「ゼロ」になるのがイヤなので、分母に「1E-30」を加えました。
「1E-30」は「1✕10-30」なので、ほぼ「ゼロ」ですね。
また、「=ATAN(G7/(F7+1E-30)) 」の計算結果は弧度法の「rad(ラジアン)」になるので、位相差として分かりやすく表示するために、「\(\pi\) 」で割って「180」を掛けました。
そうすることで計算結果は、「度数法」の「deg(デグリー)」で表示されます。
「抵抗値」の「1」、「容量値」の「0.00001」、「表」を下の画像のセルに配置すれば、上の②~⑥の式を7行目にコピペし、7行目の「セルC7~G7」を「8行目~103行目」にコピペすると、表が完成します。

もしコピペしても、この表が作成できない場合、お問合せフォームから状況をお知らせください。
ボード線図のグラフ作成
ここでは、前の項で作成した表を使い、ボード線図のグラフを作成します。
最初に「セルB6」を左クリックします。

次に、「⇧ Shift」キーを押しながら、「→」キーを2回押して、「セルB6~D6」を選択します。

次に、「⇧ Shift」キーと「Ctrl」キーを同時に押しながら、「↓」キーを1回押して「セルB6~D103」を選択します。

次に、下の画像に示すように「挿入」を左クリックし、「散布図」のアイコンの右の「∨」を左クリックし、表示されたアイコンの中から、右上のグラフ(散布図(平滑線))を左クリックして表示します。

そうすると、下のようなグラフが表示されると思います。

PCの環境による違いがあるかもしれませんが、ここでは自分のPCの環境で説明を進めます。
「③ 位相差」の橙色のトレースを右クリックして下の画面を表示し、「データ系列の書式設定」を左クリックします。

そうすると、下の画面になります。

上の画面で、「第2軸」を左クリックして選択すると、下の画面になります。

縦軸の小数点以下の数字が表示されている場合、下の手順で小数点以下の表示を消します。
下の画像のように、グラフの左側の縦軸を左クリックで選択し、「軸の書式設定」で左右に4つ並んだアイコンから、右端のグラフのアイコンを左クリックで選択し、下に4つ並んだ選択肢から一番下の「表示形式」を左クリックで開きます。

一番下の「表示形式コード」の数字「0.0000」を、「0」にして右の「追加」を左クリックします。

そうすると、下の画像のようにグラフの左の縦軸の数字の小数点以下の数字が消えます。
続けて、右の縦軸を左クリックし、「表示形式コード」を「0」にして、右の「追加」を左クリックします。

そうすると、下の画像のようにグラフの右の縦軸の数字の小数点以下の数字が消えます。
次に、再びグラフの左の縦軸を選択し、一番上の「軸のオプション」を開いて、「最小値」に「-50」を入力します。

続けて、「最大値」に「10」を入力します。

そうすると、下のように左の縦軸の値が「-50~10」になります。
続けて右の縦軸の値も、「最小値」に「-225」、「最大値」に「45」を入力します。

そうすると、下のように右の縦軸の値が「-225~45」になるので、目盛りの間隔を「50」から「45」に変更するため、「単位」の「主」に「45」を入力します。

次に、横軸の位置を下の端に移動します。
左の縦軸を選択して、「軸のオプション」の下の方の「横軸との交点」で「軸の値」を選択して「-50」を入力します。

そうすると、横軸の位置がグラフの一番下に移動しました。

次に、横軸を「一目盛りで一桁」の「対数目盛」に変更します。
下の画像のように横軸を選択して、「軸のオプション」の下の「対数目盛を表示する」のチェックボックスを左クリックすると、横軸の値が「0.100~1000.000」に変化して、横軸が「対数目盛」になります。

横軸が、一桁で一目盛りだと、中間の値が分からないので、補助目盛線を追加します。
下の画像に示すように、横軸を右クリックすると「補助目盛線の追加」が出てきますので、左クリックで選択します。

そうすると、色が薄いのですが、下のように「補助目盛線」が追加されます。
ここで、右側の縦軸の目盛りが右に飛び出しているのが少し気になるので、右側の縦軸を選択して、「目盛」を開いて「目盛の種類」を「外向き」から「なし」に変更します。

次に、横軸の小数点以下の桁数が多いので、横軸を選択し、「表示形式」を開いて「表示形式コード」を「0.0」にして、右の「追加」を左クリックします。

これで、横軸の小数点以下の表示が一桁になってスッキリしました。
次に、横軸と縦軸が何かを表記するため、グラフを選択する度に現れる「+」を左クリックします。
下の画像の「グラフ要素」の選択肢が出てくるので、ここでは「軸ラベル」にチェックを入れます。
そうすると、グラフの左右と下に「軸ラベル」が表示されます。

ここで左側の縦軸の位置を左端に移動します。
横軸を選択し、「軸のオプション」の「縦軸との交点」の「軸の値」を選択し、右の値を「0.1」に変更します。

そうすると、左側の縦軸が左端に移動するので、ここでグラフのサイズを見やすいように変更します。
グラフの外枠や内枠の○を左クリックでつかんで動かすと、グラフのサイズを変更できます。

次に、「グラフタイトル」「軸ラベル」の入力と、グラフの線を見やすい色に変更します。
まず、「② 減衰量」のトレースを右クリックして、下の図の手順で青色に変更します。

次に、「③ 位相差」のトレースを右クリックして赤色に変更します。

次に、下の「凡例」を左クリックすると現れる枠を、左クリックでつかんで右上に移動します。

とりあえず、下の画像の位置に移動しました。

次に、「凡例」の枠の角を右クリックでつかんで適当なサイズに変更して、左右に並んだ「凡例」を上下に並べました。
その上で、下の画像に示す手順で、「凡例」の背景色を「白」にしました。

上の方に書いた方法で、グラフの内枠のサイズを再調整します。

グラフの内枠のサイズを変更後、「グラフタイトル」と「軸ラベル」を記入しました。

「グラフタイトル」と「軸ラベル」記入後の画像を下に示します。

左側の縦軸の「軸ラベル」の文字を選択して、フォントを「Meiryo UI」にしました。
これは、最近の自分の好みなので、なんでも構いません。

左側の縦軸の「軸ラベル」の文字の色を、「② 減衰量」のトレースの色に合わせて青色にしました。

同様にして、他の「グラフタイトル」と「軸ラベル」のフォントと色を変更しました。

今度は、左側の縦軸を右クリックして、縦線を黒色にしました。

右側の縦軸と下側の横軸の線も同様にして、黒色にしました。

グラフの内枠の上側を右クリックして、上側の線を画像に示す少し薄い黒色にしました。

グラフの内側の縦軸を右クリックして、内側の縦軸を少し薄い黒色にしました。

グラフの内側の横軸を右クリックして、内側の横軸も少し薄い黒色にしました。

縦の「補助目盛線」を右クリックして、「補助目盛線」を薄い黒色にしました。

作成したボード線図のグラフを下記に示します。

この表やグラフの作成方法は我流なので、もっと効率的な作成方法があると思いますが、参考にしていただければと思います。
次回も我流ですが、波形をExcelのグラフで描く方法を書こうと思います。
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