「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔4〕(R-Cフィルターの入出力波形の描画)
今回は、前回のボード線図に続いて、「R-Cフィルター」の入出力波形のグラフを作成します。
前回記事の回路図と入出力特性の計算式
最初に「R-Cフィルター回路」を下に示します。

次に、この「フィルター回路」の出力波形「\(v_o(t)\) 」を、入力波形「\(v_i(t)\) 」で表した式を下に示します。
$$v_o(t)=\displaystyle\frac{1}{1+(\omega CR)^2} v_i(t) -j\displaystyle\frac{\omega CR}{1+(\omega CR)^2} v_i(t) $$
この式は、下の記事で求めました。
「「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔2〕(R-C)」
この式には「虚数:\(j\) 」が含まれるので、Excelで波形を描くには、「虚数:\(j\) 」を別の方法で表す必要があります。
入力波形は、上の回路図に書いているように「\(v_i(t) = V_{peak} \sin(\omega t)\) 」ですが、「虚軸」は「実軸」に対して「90度」進んでいます。
そのため、出力波形の「実軸部」と「虚軸部」を下の式で表しました。
〔実軸部〕
$$\displaystyle\frac{1}{1+(\omega CR)^2} v_i(t)$$
$$= \displaystyle\frac{V_{peak}}{1+(\omega CR)^2} \sin(\omega t)$$
$$= \displaystyle\frac{V_{peak}}{1+(2\pi f CR)^2} \sin(2\pi ft)$$
〔虚軸部〕
$$-j\displaystyle\frac{\omega CR}{1+(\omega CR)^2} v_i(t) $$
$$= -j\displaystyle\frac{\omega CRV_{peak}}{1+(\omega CR)^2} \sin(\omega t) $$
$$= -\displaystyle\frac{\omega CRV_{peak}}{1+(\omega CR)^2} \sin(\omega t+90\deg) $$
$$= -\displaystyle\frac{\omega CRV_{peak}}{1+(\omega CR)^2} \cos(\omega t) $$
$$= -\displaystyle\frac{2\pi f CRV_{peak}}{1+(2\pi f CR)^2} \cos(2\pi ft) $$
「実軸」の電圧値の式は、そのまま使用しています。
「虚軸」は、「実軸」より位相が「\(90\)度」進んでいるので、「虚数単位:\(j\) 」の代わりに、「\(\sin(\omega t)\) 」の位相を「\(90\)度」進めて「\(\sin(\omega t+90\deg)\) 」と表しました。
次に、「\(\sin(\omega t+90\deg)\) 」を「\(\cos(\omega t)\) 」と表しました。
その他にも、両方の式に「\(\omega=2 \pi f\) 」を代入しました。
この方法が常に使えるのかは分かりませんが、今回のように「\( A \sin (\omega t) +j B \sin (\omega t)\) 」のような、シンプルな式では大丈夫そうです。
一応、全体の式を書いておきます。
$$v_o(t)= \displaystyle\frac{V_{peak}}{1+(2\pi f CR)^2} \sin(2\pi ft) -\displaystyle\frac{2\pi f CRV_{peak}}{1+(2\pi f CR)^2} \cos(2\pi ft) $$
それでは、次の項ではこれを計算する表を作成します。
フィルター回路の入出力電圧の瞬時値を計算する表の作成
フィルターの入出力波形は、下の値を使って作成します。
・電圧振幅(Vpeak):10V
・抵抗(R):1Ω
・コンデンサー(C):10μF(=0.00001F)
・周波数(f):0.1kHz ~ 1000kHz(表作成時は暫定で10kHz)
作成する入出力波形は、横軸が経過時間です。
経過時間は基点が0usで、波形2周期分にします。
例えば周波数:10kHzだと、1周期は「1/10kHz=1/10000Hz=0.0001秒=100us」なので、2周期分だと200usです。
下に、作成したExcel表の外観を示しますが、経過時間は「B列」に記載しています。

この表を大まかに説明すると、まず一番左の「B列」が「経過時間」です。
「経過時間」は、上にも書いたように「0~200us」ですが、これは「セルC4」の「10.0」kHzから計算しました。
「10kHz」の逆数を計算すると周期の「100us」になるので、これを100分割して「1us」ステップで増やしました。
となりの「C列」は入力波形なので、上の回路図にある「\(vi(t)=V_{peak}\sin(\omega t)\) 」です。
そのとなりの「D列」が出力波形ですが、右の「E列」と「F列」の足し算を行っています。
「E列」は「出力波形@実部」で、前の項の〔実軸〕のところに書いた式が入っています。
「F列」は「出力波形@虚部」で、前の項の〔虚軸〕のところに書いた式が入っています。
具体的に、どんな式を入れているかを、これから書いていきます。
最初に、表の計算式の全体イメージを下に示します。

個別の内容は、これから説明していきますので、ここでは全体的なイメージとして眺めておいてください。
それでは、この表を左の列から順番に説明していきます。
〔経過時間〕
左端の「B列」は「経過時間」で、一番上は基点の「0us」です。
その下は、「1us」ずつ時間が増えていきますが、これは「10kHz」の場合です。
この「1us」は、下記の式で計算しました。
1周期/100\(=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{1}{10000Hz}}{100}=0.000001s=1\mu s\)
この式を、Excelの計算式にすると下記になります。

「セルB9」でこの計算式を説明すると、「$C$4」は単位が「kHz」なので、最初に1000倍して単位を「Hz」にし、その逆数を計算して、単位が「s(秒)」の周期を計算します。
次に、単位を「s」から「us」にするために「1000000」倍しました。
「セルB9」の式がコピーできるように、この式の「文字列」を下に貼っておきます。
=B8+(1/($C$4*1000)/100)*1000000
〔入力波形と出力波形〕
「入力波形」と「出力波形」の計算式は下になります。
入力波形\(=V_{peak} \sin(2\pi f t)\)
出力波形\(=(\)出力波形@実部\()+(\)出力波形@虚部\()\)
これらの式を、Excelの計算式にすると下記になります。

前回の「「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔3〕(R-Cフィルターのボード線図作成法)」で説明した内容を確認すると、これらの式の書き方が分かると思います。
「セルC8」の式は下記になります。
=C$5*SIN(2*PI()*C$4*1000*B8/1000000)
「セルD8」の式は下記になります。
=E8+F8
〔出力波形@実部〕
「出力波形@実部」の計算式は、前の項に書きましたが下記になります。
出力波形@実部 \(= \displaystyle\frac{V_{peak}}{1+(2\pi f CR)^2} \sin(2\pi ft)\)
この式を、Excelの計算式にすると下記になります。

新しい関数や計算方法は使用していないので、補助単位に注意しながら式を書きます。
「セルE8」の式は下記になります。
=C$5/(1+(2*PI()*C$4*1000*$C$3*$C$2)^2)SIN(2*PI()*C$4*1000*B8/1000000)
〔出力波形@虚部〕
「出力波形@虚部」の計算式も、前の項に書いた下の式になります。
出力波形@虚部\(= -\displaystyle\frac{2\pi f CRV_{peak}}{1+(2\pi f CR)^2} \cos(2\pi ft) \)
この式を、Excelの計算式にすると下記になります。

この計算式も、これまで使用した関数を使用しています。
「セルF8」の式は下記になります。
=-2*PI()*C$4*1000*$C$3*$C$2*C$5/(1+(2*PI()*C$4*1000*$C$3*$C$2)^2)*COS(2*PI()*C$4*1000*B8/1000000)
8行目が完成したら、8行目をコピーして、9~208行目に貼り付けたら表は完成です。
波形のグラフの描き方
計算を行う表ができたら、今度は波形のグラフを作成します。
下の画像に示すように、表の「セルB7~D208」を選択します。

これで散布図のグラフを選択すると、下のグラフが表示されます。

グラフ作成の手順は、前回の「「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔3〕(R-Cフィルターのボード線図作成法)」に書きましたので、それを参考にしてグラフを整えると、下記のようなグラフになります。

「セルC4」の周波数の値を変えると、表の計算値が更新されます。
ただ、グラフの横軸は自動的には変わらないので、同じグラフをコピーして、横軸の異なるグラフをいくつか作成しておくと、周波数を変える度に横軸を変える必要が無くなります。
例えば、下記のような感じです。





周波数によって、振幅と位相がどのように変化するかを見ると、波形がどのように変化するかの理解が深まると思います。
今回は電源フィルターのイメージで、「R-Cフィルター」を作成しましたが、「R:抵抗」に電流が流れると、「R:抵抗」で電圧が下がってしまいます。
そこで次回は、「R:抵抗」の代わりに、理想的には抵抗値がゼロの「L:コイル」を使うとどうなるかを書こうと思います。
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