「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔7〕((R+L)-C:ボード線図と入出力波形)

今回は、前回の記事「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔6〕((R+L)-C:計算式)で求めた式を使って、「ボード線図」と「入出力波形」のグラフを描きます。

「(R+L)-C」フィルター回路のおさらい

「ボード線図」と「入出力波形」を作成する回路と、抵抗値などの値を下に示します。

・電圧振幅(Vpeak):10V

・コイル(L):10μH(=0.00001H)

・コンデンサー(C):10μF(=0.00001F)

・抵抗(R):0.1Ω または 1.0Ω

・周波数(f):0.1kHz ~ 1000kHz

ボード線図

最初はボード線図です。

前々回の記事「抵抗」「コンデンサー」「コイル」を使ったフィルター回路〔5〕(L-C)で説明した、「抵抗値:\(0Ω\) 」のときの「L-Cフィルター」の「ボード線図」を再掲します。

左側の縦軸は「減衰量」ですが、「減衰量」を表す青い線は、中間付近の「共振周波数」前後では減衰せず、出力振幅の方が大きくなっています。

特に「共振周波数(\(16kHz\)付近)」では、出力振幅が計算上は無限大になります。

右側の縦軸は「位相差」ですが、「位相差」を表す赤い線は、「共振周波数」より左側では「位相差:\(0deg\) 」で、右側だと「位相差:\(-180deg\) 」になります。

その変化点で、「位相差」は不連続に変化します。

【抵抗値:0.1Ω】

今回は抵抗値を、「\(0.1Ω\) 」と 「\(1Ω\) 」としています。

最初に、「抵抗値\(:0.1Ω\) 」のときの「ボード線図」を下に示します。

前回の記事にも書きましたが、「位相差」を求める逆三角関数である「\(\arctan(=\tan ^{-1})\) 」の計算値は、「\(\pm90 deg\) 」の範囲です。

そのため、「位相差」が「\(-90deg\) 」よりさらに遅れると、「\(+90deg\) 」になってしまいます。

実際の位相差をグラフに描くためには、「位相差」が「\(-90deg\) 」より遅れたときは、計算結果に「\(-180deg\) 」を加える必要があります。

「\(-180deg\) 」を加えたボード線図は、下記になります。

「減衰量」を表す青のトレースは、無限大にはなりませんが、やはり「共振周波数」付近では出力振幅の方が大きく、約「\(+20dB\) 」なので、出力振幅は入力の約「\(10\)倍」です。

「位相差」は連続して変化しますが、かなり急峻に「\(0deg \rightarrow -180deg\) 」まで変化します。

電源フィルター用の回路として考えると、出力振幅が10倍近くまで大きくなる周波数があるので、あまり良い電源フィルター回路とはいえません。

【抵抗値:1.0Ω】

次に、「抵抗値:1Ω」のときの「ボード線図」を下に示します。

ここでも、「位相差」が「\(-90deg\) 」より遅れたときは、計算結果に「\(-180deg\) 」を加えて下のグラフにします。

「減衰量」を表す青のトレースは、「共振周波数」付近では、やはり出力振幅の方が大きくなりますが、最大で「\(+1.25dB\) 」なので、出力振幅は入力の「\(1.15\)倍」程度です。

「位相差」の変化は、「\(0.1Ω\) 」のときよりも、かなりゆっくりです。

出力振幅が、入力を超えないようにするには、「抵抗:\(1Ω\) 」の値をもっと大きくすればよいのですが、そうすると抵抗での電圧降下が大きくなるので、電源フィルターとしては、この辺りが妥協点かもしれません。

回路構成によっては、抵抗での電圧降下を回避することも可能なので、その回路は次の次くらいの記事に書きたいと思います。

それでは次の項で、入出力波形のグラフについて説明します。

入出力波形

ここでは、「抵抗:\(1Ω\) 」の波形を左側に、「抵抗:\(0.1Ω\) 」の波形を右側に貼り付けていきます。

黒のトレースが「入力波形」で、赤のトレースが「出力波形」です。

赤い「出力波形」がグラフからはみ出たり、小さくて見えない場合は、「出力波形」専用の目盛りをグラフの右側に設けて、「出力波形」を適度な大きさに調整したグラフを、元のグラフの直下に追加します。

【\(0.1kHz/1kHz\) 】

最初は、「周波数:\(0.1kHz\) 」と、「周波数:\(1kHz\) 」の入出力波形を続けて貼り付けます。

上側の「周波数:\(0.1kHz\) 」の入出力波形は、左右どちらも入出力波形が重なって見えます。

下側の「周波数:\(1kHz\) 」でも、右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」の入出力波形はやはり重なって見えますが、左側の「抵抗:\(1Ω\) 」の波形は、赤色の「出力波形」が少し右側にずれていて、位相が遅れています。(約\(-4deg\) )

これは、前の項で説明した下の「抵抗:\(1Ω\) 」のボード線図で、赤色の位相差のトレースが、「周波数:\(1kHz\) 」で「\(-4deg\) 」くらいになっていることと一致しています。

【\(10kHz\) 】

次に、「周波数:\(10kHz\) 」の入出力波形を貼り付けます。

「周波数:\(10kHz\) 」では、左右何れの波形も、出力波形が入力波形からずれています。

左側の「抵抗:\(1Ω\) 」では、振幅の変化は少しですが、位相が大きくずれています。

右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」では、位相のずれは少しですが、振幅が大きく変化しています。

比較しやすいように、「抵抗:\(0.1Ω\) 」時のボード線図も下に貼り付けておきます。

入出力波形とボード線図を見比べて、「減衰量」と「位相差」の変化が一致していることを確認してください。

【\(15kHz/16kHz/17kHz\) 】

今度は、共振周波数付近の「周波数:\(15kHz\) 」「周波数:\(16kHz\) 」「周波数:\(17kHz\) 」の入出力波形を続けて貼り付けます。

最初は「周波数:\(15kHz\) 」です。

右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」のグラフでは、「出力波形」が大きすぎて、グラフの枠からはみ出ているので、出力専用の縦軸を右側に設け、目盛りを「\(\pm20V ⇒ \pm100V\) 」に広げたグラフを下に貼り付けます。

左側の「抵抗:\(1Ω\) 」では、既に振幅が下がり始めており、位相は「\(90deg\) 」近くまで遅れています。

右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」では、出力振幅が入力の7倍近くまで大きくなっており、位相遅れは「\(45deg\) 」の少し手前です。

次は、右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」の回路の共振周波数に近い、「周波数:\(16kHz\) 」の波形です。

ここでも、右側の「出力波形」が枠をはみ出ないよう、縦軸を調整したグラフを下に貼り付けます。

左側の「抵抗:\(1Ω\) 」では、出力と入力の振幅はほぼ同じで、位相遅れは約「\(90deg\) 」です。

右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」では、出力波形の振幅がほぼピーク値で、入力の約10倍になっており、位相遅れは「\(90deg\) 」を少し超えた辺りです。

最後は、周波数が共振周波数より高い「周波数:\(17kHz\) 」です。

ここでも、右側の「出力波形」が枠をはみ出さないよう、縦軸を調整したグラフを下に貼り付けます。

左側の「抵抗:\(1Ω\) 」では、入力より出力波形の振幅の方が少し小さく、位相遅れは「\(90deg\) 」を少し超えた辺りです。

右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」は、出力波形の振幅がピーク値の半分近くまで低下しており、位相遅れは「\(90deg+45deg\) 」を超えた「\(140deg\) 」台です。

ここでは、わずかな周波数の変化に対して、左側の「抵抗:\(1Ω\) 」は、振幅と位相があまり変化していませんが、右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」では大きく変化していることが、波形から分かると思います。

【\(20kHz\) 】

次は、「周波数:\(20kHz\) 」の入出力波形を貼り付けます。

左側の「抵抗:\(1Ω\) 」も、出力波形の振幅が明らかに下がり始めており、位相遅れは「\(110deg\) 」台です。

右側の「抵抗:\(0.1Ω\) 」は、出力波形の振幅がピーク値の約1/6まで低下し、位相遅れは「\(170deg\) 」弱で、位相反転の「\(180deg\) 」に近づいています。

【\(100kHz\) 】

次は、「周波数:\(100kHz\) 」の入出力波形です。

ここまでくると、出力波形は一気に小さくなるので、ここでも右側の縦軸を「出力波形」専用にして、目盛りを「\(\pm20V ⇒ \pm0.8V\) 」に変更し、波形を縦方向に拡大したグラフを下に示します。

この周波数になると、「コイル」のインピーダンスが抵抗値よりずっと大きくなるので、抵抗値が「\(1Ω\) 」でも「\(0.1Ω\) 」でもほとんど関係なくなり、「抵抗:\(1Ω\) 」と「抵抗:\(0.1Ω\) 」のグラフは同じに見えます。

波形の位相遅れも「\(180deg\) 」に近く、出力波形は入力に対して上下がほぼ反転しています。

【\(1000kHz\) 】

最後に、「周波数:\(1000kHz\) 」の入出力波形を貼り付けます。

「出力波形」は、さらに小さくなるので、右側の縦軸をさっきよりさらに100倍の「\(\pm20V ⇒ \pm0.008V\) 」まで拡大した波形を下に貼り付けます。

出力波形の振幅は、入力波形の約1/4000、位相遅れはほぼ「\(180deg\) 」で、出力波形は入力に対して反転しています。

グラフをたくさん貼り付けましたが、「\((R+L)-C\)フィルター 」の「ボード線図」と「入出力波形」の関係をお伝えできたでしょうか。

次回は、Excelでこれらのグラフを作成してみたいという方のために、使用した式などの説明を簡単に書こうと思います。

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