全波整流波形観測時の失敗談(1)~二つの全波整流波形

全波整流回路は、AC電源をDC電源に変換するときなどに使いますが、AC100Vを「全波整流+平滑化」して、DC140Vにした波形をオシロスコープで観測しようとした失敗談を、今回と次回に分けて書きます。

全波整流回路

他の方のwebページから、「全波整流+平滑化」を説明する代表的な画像をコピーさせていただきました。

図の一番上は回路図で、左端の「丸」の記号は交流の電圧源を表します。

その右の「4個の矢印」が「ダイオードブリッジ」という部品で、これで全波整流を行います。

その右側の「コンデンサー」と「負荷_LOAD」で全波整流波形が平滑化されますが、「負荷_LOAD」は抵抗と考えてください。

次に、回路図の下に描かれているⒶ~Ⓒの波形について説明します。

Ⓐ 左端の電圧源の出力波形で、「ダイオードブリッジ」の入力波形です。

Ⓑ「コンデンサー」がない場合の「ダイオードブリッジ」の出力波形で、これが全波整流波形です。

Ⓒ「コンデンサー」がある場合の「ダイオードブリッジ」の出力波形で、全波整流波形を平滑化した波形です。

このような説明が一般的と思いますが、自分の失敗の原因は、これらの波形が何を基準にした波形かを、あまり考えずに波形観測したことと思っています。

上のⒶ~Ⓒの波形は、なんとなく全て「0V」を基準にした波形と思っていましたが、実際には「Ⓐ」と「Ⓑ Ⓒ」の波形の基準は異なりました。

そのことを、次の項に書きます。

基準が異なる二つの全波整流波形

まず、「コンデンサー」がない場合の全波整流回路を下に示します。

「矢印4個のダイオードブリッジ」への入力は、左端の「丸に波線」のAC100Vの電圧源で、出力波形は左下の波形になります。

この波形の(L)や(N)については、「直流と交流の違い〔1〕(AC100Vの波形)」の記事を参考にしてください。

中央に真横に引いた0Vの横軸上に、黒い線で「② AC100V入力(N)」の波形(一本線)を描きました。

茶色い「① AC100V入力(L)」の波形は、「② AC100V入力(N)」を基準にした波形です。

「① AC100V入力(L)」の波形は、経過時間「-20~0ms」では「0V」で、「0ms」以降は「20ms」周期で「+141V」と「-141V」を行き来する正弦波です。

「ダイオードブリッジ」への入力波形なので、「入力」と書きました。

右側の波形は「0V」付近の波形で、経過時間「0~30ms」を拡大しています。

次に、「ダイオードブリッジ」から出力される「全波整流波形」を左下に示します。

これが、一つ目の「全波整流波形」です。

右側の波形は、先ほどと同様に「0V」付近を拡大した、経過時間「0~30ms」の波形です。

「③ 全波整流(+)」は上側の赤い線で、「④ 全波整流(ー)」は下側の青い線です。

「0V」付近で赤線と青線が入れ替わりますが、青線が赤線より上になることはありません。

この波形は、前の項で説明したⒷの「全波整流波形(下図)」とは、全く違って見えます。

その理由は、前に書いたように波形の基準が異なるためです。

例えばオシロスコープで波形を観測する場合、下の画像のようなプローブを使用して、図に「GND(基準)接続」と書いた「ワニ口クリップ」を、「GND(グランド)」や「0V」など、波形の基準になる位置に取り付けます。

そして、観測したい波形の位置に、「波形測定部」の先を押しあてたり、引っかけたりします。

こうして観測される波形は、この「ワニ口クリップ」をどこに取り付けるかで変わります。

上の波形をもう一度下に貼りつけますが、この赤と青の波形は、「ワニ口クリップ」を「② AC100V入力(N)」に取り付けたと仮定したときの「全波整流波形」です。

次に、この「ワニ口クリップ」を「④ 全波整流(-)」に取り付けたと仮定すると、「③ 全波整流(+)」の波形は左下のようになります。

これが、二つ目の「全波整流波形」です。

ただ、この「ワニ口クリップ」を、実際に「② AC100V入力(N)」や「④ 全波整流(ー)」に取り付ける行為は危険なので、絶対に行わないでください。(理由は「失敗談(2)」に書きます。)

この二つ目の「全波整流波形」が、下の「Ⓑ」の波形に相当します。

上の二つの「全波整流波形」は、「③ 全波整流(+)」と「④ 全波整流(ー)」の間の電位差で見ると同じなのですが、見た目は違って見えます。

このように、どこを基準にするかで波形の見た目は変わります。

今回の記事の最後に、Ⓒの波形について書きます。

このときの回路図は、下記になります。

これまでの回路に、コンデンサー(C)を抵抗(R)と並列に追加しています。

Ⓒの平滑化波形は、下の赤い2重線の「⑤ 平滑(+)」で、この波形は「 ⑥ 平滑(-)」を基準にしています。

この「平滑波形」の基準は「⑥ 平滑(ー)」ですが、もちろん「② AC100V入力(N)」を基準にしても描けます。

次回の「失敗談(2)」では、それらの波形についても説明しようと思います。

ちょっと説明が難しくなると思いますが、頑張ってみます。

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