100円ショップで買った超音波式加湿器の高電圧発生回路〔2〕(波形を測定しました。)

2023年の年末、「100円ショップで買った超音波式加湿器の高電圧発生回路」を投稿しましたが、そのときはまだ電圧波形は未測定でした。それが最近、2種類の「高電圧発生回路」で電圧波形を測定することができたので、今回はその電圧波形について書きます。

前回の投稿内容

前回の投稿に使用した、超音波式加湿器の「高電圧発生回路」は下記になります。

この「高電圧発生回路」の動作説明を下に示します。

① パルス信号により「トランジスタ」がON/OFF

② 「トランジスタ」ON時に、一定の傾斜で赤い実線の電流が増加

③「トランジスタ」がOFFになると、赤い点線の電流が「昇圧用コイル」に流れて高電圧が発生

④ その後は②と③を繰り返し、「VH-~VH+間」に100Vpp前後の高電圧パルス信号が発生

少し補足すると、②でコイルに磁気エネルギーが蓄えられ、③でその磁気エネルギーを放出することで赤い点線の電流が流れて、高電圧が発生するイメージです。

磁気エネルギーを効率的に蓄えて、その磁気エネルギーを下側の巻き線に伝えるのは、巻き線の内側に入っている「磁心」という強磁性体のコアという部品で、回路図では黒い点線で表しています。

それでは、電圧波形の説明を次の項で書きます。

高電圧発生回路の電圧波形

下の回路図は、LEDの点灯回路を除いた「高電圧発生部」の回路例です。

前の項の回路と同様ですが、「①」の位置を上にした方が電圧が上昇するイメージに合っているかなと思い、「①」を回路図の上側にしました。

オシロスコープで測定した電圧波形を下に示しますが、①~④の説明を簡単に書きます。

① 圧電振動子の大振幅側の電圧波形

② 圧電振動子の小振幅側の電圧波形

③ 圧電振動子の両端の電圧波形(③=①-②)

④ トランジスタをON/OFF制御する電圧波形

少し見づらいのですが、この波形は縦軸が上下に8分割されており、一つの分割が①~③は20V、④は5Vになっています。

また、波形の基準となる「0V」は、①~③は縦軸の真ん中、④は一番下になります。

④の緑のトレースの繰り返し周期は9.24usですが、トランジスタが「ON」している時間は3.5μsです。

この「ON」時間を4.9μsに延ばすと、波形は下のように変わります。

圧電振動子の両端の電圧が、84.0Vppから121.8Vppに上昇しています。

これは、トランジスタの「ON」時間が長くなったことで、コイルに蓄えられる磁気エネルギーが増えたためと考えられます。

トランジスタの「ON」時間が長い方が良いというわけではありませんが、今回の回路では「ON」時間に比例して電圧が上昇しました。

次の項に、少し配線が異なる回路の波形を示しますが、実は100円ショップで購入した超音波式加湿器の回路はこちらになると思います。

過去に投稿した回路図は、近いうちにコメントをつけて差し替える予定です。

100円ショップで購入した超音波式加湿器の高電圧回路の電圧波形

下の回路は、100円ショップで購入した超音波式加湿器の「高電圧発生部」の回路図(推測)です。

前の項の回路との主な違いは、コイルの下側の巻き線の両端に接続されている、「+5V」と「トランジスタ」の位置が逆になっている点です。

オシロスコープで測定した電圧波形を下に示しますが、①~④に関する説明は前の項と同じです。

前の項の波形との大きな違いは、「①」と「③」の波形が上下反転している点です。

想定外の波形だったので、回路の接続がどうなってるのか考えましたが、おそらくこのようになっていると思います。

二つの回路を見比べると、トランジスタが「ON」のときに、コイルに流れる電流の向きが逆になります。

そうすると、高電圧の電圧波形(①と③)も逆になります。

下側の巻き線に電流が流れてコイルに蓄えられた磁気エネルギーは、「磁心」を通して上側の巻き線と共有されるので、その巻き線の向きに応じた方向に電流が流れることで高電圧が発生します。

今回、100円ショップで購入した超音波式加湿器の電圧波形を測定したときに、想定と異なっていたので驚きました。

実際の波形を測定するのは、やはり大切ですね。

次回は、「複素平面」について書こうと思います。

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