「力」と「エネルギー」の単位

皆さんが中学生の時の教科書には、「力」の単位はなんと書かれていたでしょうか。

調べてみたのですが、平成14年度に「力」の単位は「kg重(キログラムじゅう)」から「N(ニュートン)」に変わったようです。

「kg重」はおそらく日本での表記で、「kgf」や「kgw」という表記が一般的と思います。

自分はもちろん「kg重」(または「g重」)で教わったので、会社で力の単位として「N(ニュートン)」が出てきたときにはなんだっけと思いました。

「N(ニュートン)」なんて書かれているので得体の知れないものに感じましたが、調べてみると力の単位で「N=kg・m/s²」だと分かり『ホッ』としました。

ただ、質量1kgのモノを持ったときに手が受ける「力」が「1kg重」というのはそのまんまですが、単位が「N(ニュートン)」になるとちょっとピンときません。

質量1kgのモノを持ったときに手が受ける「力」は、「N(ニュートン)」で表すと下記になります。

1kg × 9.8m/s² = 9.8kg・m/s² =9.8N(ニュートン)

例えば10N(ニュートン)の力とか荷重と書かれていると、『えーっと、1kg重くらいか』と脳内変換してしまいます。

でも、重力加速度は地球上の場所によって変化(一応、9.80665m/s²と定められていますが・・)しますし、他の単位に換算するときも面倒なので、「N(ニュートン)」という単位を使用するのは仕方がないことと思います。

以前書いた「位置エネルギーの単位」の記事に「J(ジュール)」というエネルギーの単位が登場しましたが、「J(ジュール)」の定義は計量法では「1N(ニュートン)の力がその力の方向に物体を 1メートル動かすときの仕事」と、ちょっと分かりづらく表現されています。

ちなみに「仕事」と「エネルギー」は表現の違いだけで同じものです。

少し正確さには欠けるかもしれませんが、この定義を1N(ニュートン)の「力」に逆らって物体を1m移動させるのに必要なエネルギーが1J(ジュール)と表すと、下のように表現できるのかなと思います。

1N(ニュートン)の「力」は1kg・m/s²なので、1kgの質量の球に、1m/s²の加速度が加わっている状態の絵を描いてみました。

重力加速度は9.8m/s²なので、勾配10.2%の坂道だと斜面と平行方向の加速度は1.0m/s²、垂直方向の加速度は9.75m/s²になります。

この坂道に置いた1kgの球に加わわる加速度は1m/s²なので、この球が転がらないように支える手には1N(ニュートン)の力が加わっています。

この1N(ニュートン)の力がかかっている状態で、1kgの質量の球を坂道の上の方に向かって1m転がすと、先ほどの「J(ジュール)」の定義「1N(ニュートン)の力がその力の方向に物体を 1メートル動かすときの仕事」になり、1J(ジュール)のエネルギーを球に与えたことになります。

これは、「位置エネルギーの単位」でエネルギーを求めた式:mgh = 1kg × 9.8m/s² ×(1m × 10.2%)= 1.0kgm/s²・m = 1.0N・m = 1.0J(ジュール)で計算しても同じです。

(1m × 10.2%)は、勾配が10.2%の坂道を1m進むと高さが「0.102m」高くなることを意味しています。

ついでに書くと、もし1秒間に1mのペースで坂道の上の方に転がしていくと、1秒間に1J(ジュール)の仕事をしていることになるので、これは1J/s = 1W(ワット)の仕事率にとなります。消費電力と同じ単位ですね。

単位は、一見全く違う単位と関係しているので、その辺りをこれからも書いていこうと思います。

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