モバイルバッテリーの充放電特性をUSBメーターで測定しました。
電流容量10000mAhと表示されているモバイルバッテリーが、実際にはどのくらいの電流容量があるのかが気になっていました。
今年の初め、会社でUSBメーターを購入していただきました。
USBメーターは、下の画像のような小さな機械です。
USBメーターを使用したことはなかったので、使用方法を習得するために手持ちのモバイルバッテリーの充放電特性を測定してみました。
最初に充放電特性を測定するモバイルバッテリーの仕様を確認します。
ちょっと画像が見づらいので、底面に書かれている仕様をそのまま書き出してみます。
・Capacity(容量):10000mAh、3.7V/48Wh(MAX)
・input(入力):DC5V=1A(MAX)
・Output1(出力1):DC5V=2A(MAX)
・Output2(出力2):DC5V=1A(MAX)
・Output3(出力3):DC5V=1A(MAX)
「入力」と「出力」は、「=」の意味がちょっと分かりませんがまぁいいとして、「容量」の方がよく分かりません。
電流容量が10000mAh=10Ahと書かれていますが、これがUSB出力の5Vに対してなのか、モバイルバッテリー内部のLi-ion電池の3.7Vに対してなのかがまず分かりません。
電力容量が48Whで電流容量が10Ahなので、これから電圧を計算すると4.8Vになり、USB出力の5Vに近い値です。
とりあえずここは、USB出力の5Vに対して10Ahの電流容量があると期待しつつ、USBメーターで充放電時の電流量や電力量を測定してみました。
まずは充電特性の測定結果を下のグラフに示します。
二つのグラフの横軸は共通で、充電の経過時間です。
上側のグラフは、充電時の入力電圧と入力電流です。
USB電源の出力電圧は本来は5Vですが、出力の電流制限回路やUSBコードの電気抵抗などによって少し電圧が下がります。
このグラフを見ると、充電電圧は最初4.5Vくらいで、6時間過ぎに充電電流が減ると本来の5Vに近づいています。
結局、充電には8時間強かかりました。
このときの電流量と電力量のグラフは下側で、電流量は6.0Ah、電力量は27.2Whでした。
放電時の電力量が、充電時の電力量を上回ることは考えられないので、仕様に書かれている48Whって・・という感じです。
10AhがLi-ion電池の3.7Vでの電流量だと仮定して、変換効率100%でLi-ion電池に充電された電流量を計算すると下記になります。
27.2Whの電力量が全てLi-ion電池に充電された場合の電流量 = 27.2Wh ÷ 3.7V = 7.35Ah
変換効率100%でもこれだけの差があるので、Li-ion電池の電流量が10Ahというのもちょっと無理がありそうです。
同様に48Whもかなり怪しい仕様と思います。
ちなみにこのモバイルバッテリーの充電回数はまだ20回程度なので、まぁ肩が暖まってきたくらいの感じかなと思います。
それでは次に、USBから出力された電流量、電力量のグラフを下に示します。
USB出力には、常に1.2Aの電流が流れるような負荷を取り付けています。
上側のグラフを見ると出力電流が少し暴れていますが、1.2Aの電流を3時間以上流せるのですから、仕様を見なければなかなかのモノだと思います。
放電時の電流量と電力量は、下側のグラフより電流量は3.9Ah、電力量は18.2Whでした。
充電時の電流量は6.0Ah、電力量は27.2Whなので、放電時の値はそれより小さくなるのは当然ですが、電力量で充放電の効率を単純計算すると18.2Wh/27.2Wh=0.67でした。
この値の平方根は0.82なので、充電時と放電時の効率が同じだとするとそれぞれの効率は0.82ということになります。
この充放電の効率は、自分の感覚ではまぁ悪くないかなという感じです。
ただ、このモバイルバッテリーの電力容量は仕様値48Whに対して18.2Whということなので、ちょっと少なすぎかなと思います。
Li-ion電池には電圧の上限仕様と下限仕様があり、その電圧まで使用するとLi-ion電池の劣化が早まるので、それよりも内側の電圧で充電や放電を止めていると思います。
ただ、それにしても・・とは感じます。
そのうち、このモバイルバッテリーが使えなくなったらケースを取り外し、内部に使用されているLi-ion電池の表示や接続を確認してみたいと思っています。
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