気圧の単位。最後は水銀柱ミリメートル。

気圧の単位の話を書いてきましたが、今回は水銀柱ミリメートル(mmHg)です。

自分は勝手に「ミリメートル・エイチジー」と言ってきましたが、今回調べてみると「水銀柱ミリメートル」と言うそうです。

まぁ、あまり口にする機会はなかったので、それほど迷惑はかけていないと思いたいです。

これまでの「hPa(ヘクトパスカル)」や「mbar(ミリバール)」は、「1m²」や「1cm²」といった単位面積に、大気からの荷重がどのくらいかかっているかで気圧を表す単位でした。

今回の「mmHg(水銀柱ミリメートル)」は、常温で比重の大きい水銀を使用して、大気圧を測定するというものです。

ちなみに水銀の比重は約13.6なので、1㏄の水が約1gなのに対して、1㏄の水銀は約13.6gあります。

もし水銀を2ℓのペットボトルに入れると約27.2kgになるので、かなり気合を入れないと持ち上げられない重さになります。そんな大量の水銀を、見たことも持ち上げたこともありませんが・・。

そんな水銀を大きな容器に入れ、その中に長い試験管のような形をした管を横向きに入れて、管の中を水銀で満たします。下の絵のイメージです。

次にその管を、口が開いている側は水銀の中に入れたままにして立てていきます。

そうすると、立てた管の長さに関係なく、容器と管の水銀の上面の高さの差は一定で約76cmになります。

これは、容器の中の水銀の上面には大気からの圧力を受けますが、管の中の水銀の上面には圧力がかかっていないので、その圧力の差分だけ管の中の水銀の上面が高くなるので、圧力が変わらなければ高さの差は一定です。

ちなみに管の水銀の上面の上の方は、ほぼ真空になります。

ただ、これは気圧が1気圧の標高0mの場合の話で、例えば標高1000mの高さでは気圧は約0.9倍になるので、水銀の高さは68cmくらいになります。

富士山の頂上だと、気圧が約0.65倍になるので水銀の高さは50cmくらいです。

ところで、これまでの投稿で気圧のイメージに水を使ってきました。

今回も水銀を水に置き換えてみます。

水銀を水に置き換えたイメージ図は下記になります。

水だと約10mの高さが必要になるんですね。

気圧測定に10mの高さが必要だとちょっと部屋に置けないので、やはり水銀が便利です。

でも水銀は有害物質なので、現在では爪の先ほどの部品で気圧を測定するのが一般的と思います。

例えばSTマイクロ社の「LPS25HB」は、部品の一部に取り付けられた「隔膜」が気圧の高低によって変形する構造になっており、この「隔膜」の変形を抵抗値の変化として取り出し、電気的な補正などを行うことで気圧を表示します。

この「mmHg(水銀柱ミリメートル)」という単位は、気圧の単位としては過去の単位ですが、血圧の単位としては現役です。

血圧が例えば100mmHgの場合は、血液の比重を1.06としてどのくらいの高さまで血液をもち上げられるかを計算してみます。

100mmHg = 10cm×13.6g/cm³÷1.06g/cm³ = 128cm

心臓の高さ付近でこのくらいの血圧があれば、頭のてっぺんまで血液を届けてくれそうです。

でも、下の血圧が60mmHgくらいになると77cmくらいになるので、しゃがんだ状態から立ち上がった時などはちょっと圧力が不足して不安定になり、立ちくらみが起きるかもしれません。

ただ一方で、頭から心臓に戻る血液が、心臓からの血液を頭まで引っ張り上げるお手伝いをしてくれるかもしれないので、単純ではないように思います。

これには血管の形状の保持力なども絡んできそうなので、単純な物理モデルでは表せないと思いますが、血圧がどうして100mmHgくらいなのかを示す一つの目安になりそうです。

ちなみにキリンの血圧は260mmHgらしいので、375cmくらいの高さまで血液を送り出せるということになり、なんとなく納得です。

ちょっとわき道に逸れましたが、気圧の話はここまでにします。

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