小学5年生より賢いの?を見て思いました。

この番組で、豆電球に並列接続した2本の乾電池から1本とると、豆電球の明るさはどうなる?という問題がありました。

電池が並列接続されている時点で少し不安な気持ちになりますが、答えを下の3つから選べという問題です。

① 消える

② 変わらない

③ 少し暗くなる

家族から「これは分かるよね。」と言われ、「まあね。ちょっと暗くなるんよね。」と自信満々で答えたら、正解はなんと②の「変わらない」。

家族からは「間違えた~。」とからかわれ、自分は意気消沈。

モヤモヤする気持ちは置いておいて、なぜ間違ったかを書いてみようと思います。

豆電球は、電気的に抵抗であるフィラメントに電流が流れて発熱し、高温になることで光ります。

高温になり過ぎて溶断しなければ、フィラメントの温度が高い方が豆電球は明るくなります。

フィラメントの温度は電圧と電流に比例し、フィラメントで発生する熱量は「電圧×電流×時間=ジュール熱」で計算できます。

「ジュール」は「そろそろ加湿器の季節です。」でも書きましたがエネルギーの単位で、一般的に熱量の単位として知られる「cal(カロリー)」との間に「1cal=4.184J(ジュール)」の関係があります。

豆電球を電池で光らせる場合、豆電球に加わる電圧が高いほど「ジュール熱」が増して明るく光ります。

それでは、並列に接続した電池と豆電球を回路図に描きます。

通常の乾電池の出力電圧は1.5Vなので、1.5V用の豆電球の仕様を調べてみると電流値は300mA=0.3Aでした。

「電圧値:V(V)」と「電流値:I(A)」と「抵抗値:R(Ω)」の間には、下の式に示す関係があります。

 V(V)= I(A)× R(Ω)

この式を使って豆電球のフィラメントの抵抗値を計算すると下記になります。

 V(V)= I(A)× R(Ω)

 R(Ω)= V(V)/ I(A)= 1.5(V)/ 0.3(A)= 5.0(Ω)

それでは、豆電球を抵抗に置き換えた回路図を描いてみます。

この状態で電池を1本とっても豆電球に加わる電圧は変わらないので、明るさは変わらないが正解になったと思います。

次に、自分が少し暗くなると思った理由ですが、電池には内部抵抗というものがあり、電池の出力電流に応じて電池の出力電圧が低下するためです。

単三アルカリ乾電池の内部抵抗の値は実測値で0.45Ωだったので、回路図では下記になります。

電池内部の電池の出力電圧を「E:1.5V」電池の内部抵抗を「r:0.45Ω」とし、電池の出力電流を「i」、豆電球に流れる電流を「I」とすると、下の式が成り立ちます。

 I= i+i = 2i ・・・(1)

 E= ri+RI  ・・・(2)

豆電球に流れる電流値は、2本の電池から出力される電流値の足し算になりますが、これを示しているのが(1)の式になります。

次に電池内部の電池の出力電圧「E:1.5V」は、電池の内部抵抗の両端の電圧「ri」と、豆電球の両端の電圧「RI」を足した電圧になりますが、これを表しているのが(2)の式になります。

(1)の式を(2)の式の「I」に代入すると、下の式になります。

 E= ri+R×2i =(r+2R)i

「i=」の式に変形すると下の値が求まります。

 i= E/(r+2R)= 1.5/(0.45+2×5.0)=1.5/10.45=0.1435(A)

このときの豆電球の電流「I」と電圧「V」を求めると下記になります。

 I= 2i = 2 × 0.1435 = 0.287(A)

 V= RI = 5.0 × 0.287 = 1.435(V)

この計算結果から、電池を2本並列接続したときの豆電球の消費電力は下記になります。

 P= VI = 1.435 × 0.287 = 0.412(W)

この消費電力:0.412Wはジュール熱に比例するので、値が大きくなるほど豆電球は明るく光ります。

それでは、次に電池を1本とったときについて計算してみます。

回路図は下になります。

先ほどと同様、豆電球に流れる電流「I」と電圧「V」を求めます。

 I= E/(r+R)= 1.5/(0.45+5.0)= 0.275(A)

 V= RI = 5.0 × 0.275 = 1.375(V)

こちらも、豆電球の消費電力を求めてみます。

 P = VI = 1.375 × 0.275 = 0.378(W)

電池2本の並列接続から1本をとると、豆電球の明るさは消費電力にほぼ比例するとすれば、明るさは0.378W/0.412W = 0.92倍になります。

なので、豆電球に並列接続した2本の乾電池から1本とると、豆電球の明るさは③の「少し暗くなる」と思いました。

でも、小学5年生で電池の内部抵抗なんて教えないと思いますので、ここではやはり②の「変わらない」を選ぶべきでしたね。

さて、せっかく電池の内部抵抗の話を書いたので、次回はこの投稿の最初に書いた「電池が並列接続されている時点で少し不安な気持ち」になる理由を書いてみようと思います。

もう少しお付き合いください。

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