位置エネルギーの単位
皆さんの中には、位置エネルギーとか運動エネルギーという言葉をご存じの方がおられると思います。
この「エネルギー」を軸にして、単位の話を書いてみたいと思います。
今日はその一回目として、位置エネルギーを中心に取り上げます。
位置エネルギーは、地球上で高い場所にあるものがもつエネルギーで、例えば水力発電は高い場所にある水が低い場所に落ちる力を使って水車を回転させ、その回転力で発電機を回して電気を作り出していますが、これは高い場所にある水がもっている位置エネルギーの一部を電気に変えていることになります。
「高い場所にあるもの」と書いていますが、その「高い場所にあるもの」は質量をもっている必要があります。
先ほどの水力発電で考えると、水の質量と落ちる高低差が大きい方がたくさん発電できるとイメージできます。
位置エネルギーは質量:m(kg)と高低差:h(m)に比例し、重力加速度:g(9.8m/s²)にも比例するので、これら3つの掛け算で求まります。
ここで質量:mを1(kg)、高低差:hを1(m)として位置エネルギーを計算すると、m × g × h=1(kg)× 9.8(m/s²)× 1(m)= 9.8(kgm/s²・m)となります。
この単位「kgm/s²・m」は、2021年12月18日投稿の「そろそろ加湿器の季節です。」で登場したエネルギーの単位「J(ジュール)」と同じ物理量を表しており、換算する必要もありません。「9.8(kgm/s²・m)= 9.8(J)」です。
その投稿で「1cal=4.184J」と書きましたが、この「J(ジュール)」という単位は「熱量」の単位でもあり、他にも「仕事」や「電力量」の単位でもあります。
「電力量」の単位は「そろそろ加湿器の季節です。」に書いた「kWh(キロワットアワー)」が一般的ですが、「J(ジュール)」に対応する単位としては「kW(キロワット)⇒ W(ワット)」、「h(アワー)⇒ s(秒)」にして、「Ws(ワット秒)= J(ジュール)」となります。
なお、()内の「アワー」や「秒」などの表現は人によって異なると思います。
「Ws(ワット秒)」と「J(ジュール)」の関係を式で表すと、「W=J/s」なので電力量は「Ws」=「J/s×s」=「J」となります。
以上の内容から、1kgの重さのものを1m持ち上げるエネルギーは9.8J(ジュール)で、電力量では9.8Ws(ワット秒)とも表現できます。
1秒に1回のペースで1kgの重さのものを1m持ち上げるという「仕事」をすると、「仕事率」は9.8Ws(ワット秒)÷1s(秒)= 9.8W(ワット)になります。
「単位」は色々と複雑に絡み合うので少し分かりづらいのですが、計算式に間違いがないかを確認する際などに参考になると思います。
次回は、位置エネルギーと運動エネルギーの関係について書いてみようと思います。
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