コイルのインピーダンスの計算式「\(Z_L=j\omega L\) 」の求め方(1)
交流電圧源の『電圧』と、「コイル」と「抵抗」を接続した交流電圧源に流れる『電流』から、インピーダンスの計算式を求めてみます。
使用する回路
使用する回路は、前々回の投稿「電流や電力などの「極座標」を「複素平面」で表示〔1〕(抵抗とコイル)」で使用した下の回路です。

「抵抗」や「コイル」などの値も、前回と同じ下記とします。
・電圧振幅\((V_{peak}):141V\) ( ⇒実効値\(:100V_{rms}\))
・抵抗値\((R):100Ω\)
・インダクタンス値\((L):551.3mH\) (ミリヘンリー)
・周波数\((f):50Hz\) (\(\omega=2\pi f\) )
コイルのインダクタンス値は、このあとの計算の都合で小数点の一桁目まで記載しました。
電流の計算式
想定した回路の「電圧源」に流れる電流は、下記になります。
$$I=1.0-j0.577 $$
複素平面上に電流を表すと、下記になります。

この電流値は、下の計算式を使って求めました。
$$I=\displaystyle\frac{V}{R}-j\displaystyle\frac{V}{\omega L}$$
この計算式から、上の電流値が求まることを確認しておきます。
最初に「角周波数:\(\omega\) 」を、「周波数:\(f\) 」で表します。
$$I=\displaystyle\frac{V}{R}-j\displaystyle\frac{V}{(2\pi f)L}$$
具体的な電圧値などを入れて、電流値を計算します。
$$I=\displaystyle\frac{100}{100}-j\displaystyle\frac{100}{2\pi \times 50 \times 0.5513}$$
$$I=1.0-j\displaystyle\frac{100}{100\pi \times 0.5513}$$
$$I=1.0-j\displaystyle\frac{1}{\pi \times 0.5513} $$
$$I=1.0-j0.577 $$
最初に書いた複素数の電流値になりました。
計算式を青字で複素平面に追記すると、下記になります。

「抵抗」と「コイル」のインピーダンスの計算式
それでは、電流と電圧から、インピーダンスの計算式を求めます。
まず、「電圧=電流✕インピーダンス」の式を下に示します。
$$V=I \times Z$$
「\(Z\) 」は、インピーダンスを表す記号です。
この式を使って、インピーダンスの計算式を求めていきます。
$$V=I \times Z$$
$$Z=\displaystyle\frac{V}{I} $$
$$Z=\displaystyle\frac{V}{\displaystyle\frac{V}{R}-j\displaystyle\frac{V}{\omega L}} $$
$$Z=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R}-j\displaystyle\frac{1}{\omega L}} $$
右下の「\(j\displaystyle\frac{1}{\omega L}\) 」の分子と分母に「\(j\) 」を掛けます。
$$Z=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R}-\displaystyle\frac{(j \times j)}{j \omega L}} $$
$$Z=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R}-\displaystyle\frac{(-1)}{j \omega L}} $$
$$Z=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R}+\displaystyle\frac{1}{j \omega L}} $$
この式の変形は、ここで止めておきます。
「\(Z_L\)」の計算式
回路図をもう一度下に貼りつけますが、「\(R\) 」の下に「\(Z_R\) 」、「\(L\) 」の下に「\(Z_L\) 」と追記しました。

「\(Z_R\) 」は抵抗のインピーダンス(レジスタンス)、「\(Z_L\) 」はコイルのインピーダンス(リアクタンス)で、この回路図の「A-B 」から右側を見たインピーダンス「\(Z\) 」は、「\(Z_R\) 」と「\(Z_L\) 」の並列接続なので下の式で表せます。
$$Z=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{Z_R}+\displaystyle\frac{1}{Z_L}} $$
この式は、2022年9月に投稿した「電気回路_抵抗〔1〕直列接続と並列接続」の並列接続の式で、「抵抗:\(R\) 」を「インピーダンス:\(Z\) 」に置き換えたものです。
下に、前の項の式を貼り付けますが、上の式と比較します。
$$Z=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R}+\displaystyle\frac{1}{j \omega L}} $$
そうすると、「\(Z_R\) 」と「\(Z_L\) 」は下記になります。
$$Z_R=R$$
$$Z_L=j \omega L$$
この二つが、抵抗とコイルのインピーダンスの計算式です。
コイルのインピーダンスの計算式の求め方としては、少し怪しいと思われるかもしれませんが、イメージはしやすいのではと思っています。
次回は、コンデンサーのインピーダンスの計算式を、同じ方法で求めてみます。
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