コイルのインピーダンスの計算式「\(Z_L=j \omega L\) 」の求め方(4)

今回の投稿は、基本的に前回の『コイルのインピーダンスの計算式「\(Z_L=j \omega L\) 」の求め方(3)』と同様ですが、「オイラーの公式」を使って、微分の計算を簡素化しています。

オイラーの公式

「オイラーの公式」は、学生の頃に学んだ記憶が全くなくて、会社に入ってから読んだ本でチラホラと見かけたイメージです。

でも、この公式の重要性をそれなりに理解したのは、ここ10年くらいです。

「オイラーの公式」を下に示します。

先日書いた下の複素平面の円グラフは、数式「\(e^ {j\omega t} \) 」でも表せることは知っていましたが、いつも「なぜだろう」と思っていました。

正直なところ、今でも「\(e^ {j\omega t} \) 」が複素平面上で円グラフになることはイメージできませんが、理屈としては理解しました。

この公式を使うことで、電流の瞬時値を複素数で表す式は、下のように変形できます。

$$i(t)=I (\cos (\omega t) +j\sin (\omega t)) =Ie^{j\omega t}$$

この式を使って、前回と同じように「コイルのインピーダンスの計算式」を求めますが、その前にもう少し「オイラーの公式」について書いておきます。

オイラーの公式に出てくる「ネイピア数:e

まず、オイラーの公式に出てくる「ネイピア数:\(e\) 」です。

この数は、「\(e=\)2.71828…」と小数点以下が無限に続く無理数ですが、無理数の中でも超越数と言われるもので、下の計算式で表せます。

$$e=\lim_{n \to ∞}\left(1+\displaystyle\frac{1}{n}\right)^n$$

この式は、複利の計算式として説明されることが多く、例えば1年で100%の利子がつくと想定し、1年後の預金残高を計算する式と考えることができます。

1万円預金して、利子が1年に1回つく場合は「\(n=1\) 」で、1年後の預金残高は下記になります。

\(\left(1+\displaystyle\frac{1}{1}\right)^1=2\)  預金残高:2万円

次は半年ごとに利子がつく場合で、「\(n=2\) 」で下記になります。

\(\left(1+\displaystyle\frac{1}{2}\right)^2=2.25\)  預金残高:2.25万円円

次は1か月ごとに利子がつく場合で、「\(n=12\) 」で下記になります。

\(\left(1+\displaystyle\frac{1}{12}\right)^{12}=2.6130…\)  預金残高:2.6130…万円

次は1日ごとに利子がつく場合で、「\(n=365\) 」で下記になります。

\(\left(1+\displaystyle\frac{1}{365}\right)^{365}=2.7145…\)  預金残高:2.7145…万円

そして、「\(n=∞\) 」にすると下記になります。

$$e=\lim_{n \to ∞}\left(1+\displaystyle\frac{1}{n}\right)^n=2.71828…$$

これが「ネイピア数」ですが、一例として下のような性質があります。

$$y=e^x$$

$$\displaystyle\frac{dy}{dx}=e^x$$

$$\displaystyle\frac{d^2y}{dx^2}=e^x$$

「ネイピア数:\(e\) 」を「\(x\)乗」した数式は、「\(x\) 」で何回微分しても同じ式になります。

これは「ネイピア数:\(e\) 」の大きな特徴と思います。

オイラーの公式の求め方

ここで、もう一度オイラーの公式を下に書きます。

$$e^{jx}=\cos x +j\sin x$$

左の「指数関数」と、右の「三角関数」が等しくなるというのも、ちょっとイメージできませんが、べき級数展開を使用した説明で、一応自分は納得しました。

べき級数展開の手順は省略しますが、「\(e^x\) 」と「\(\sin x\) 」と「\(\cos x\)」をべき級数展開した結果を下に示します。

$$e^x=1+\displaystyle\frac{1}{1!}x+\displaystyle\frac{1}{2!}x^2+\displaystyle\frac{1}{3!}x^3+\displaystyle\frac{1}{4!}x^4+\displaystyle\frac{1}{5!}x^5+\displaystyle\frac{1}{6!}x^6+\displaystyle\frac{1}{7!}x^+\cdots$$

$$\sin x=\displaystyle\frac{1}{1!}x-\displaystyle\frac{1}{3!}x^3+\displaystyle\frac{1}{5!}x^5-\displaystyle\frac{1}{7!}x^7+\cdots$$

$$\cos x=1-\displaystyle\frac{1}{2!}x^2+\displaystyle\frac{1}{4!}x^4-\displaystyle\frac{1}{6!}x^6+\cdots$$

次に、少し乱暴な気はしますが、「\(e^x\) 」の「\(x\) 」を「\(jx\) 」に置き換えて、「\(e^{jx}\) 」を計算します。

$$e^{jx}=1+\displaystyle\frac{1}{1!}jx+\displaystyle\frac{1}{2!}(jx)^2+\displaystyle\frac{1}{3!}(jx)^3+\displaystyle\frac{1}{4!}(jx)^4+\displaystyle\frac{1}{5!}(jx)^5+\displaystyle\frac{1}{6!}(jx)^6+\displaystyle\frac{1}{7!}(jx)^7+\cdots$$

$$e^{jx}=1+\displaystyle\frac{1}{1!}jx-\displaystyle\frac{1}{2!}x^2-\displaystyle\frac{1}{3!}jx^3+\displaystyle\frac{1}{4!}x^4+\displaystyle\frac{1}{5!}jx^5-\displaystyle\frac{1}{6!}x^6-\displaystyle\frac{1}{7!}jx^7+\cdots$$

$$e^{jx}=\left(1-\displaystyle\frac{1}{2!}x^2+\displaystyle\frac{1}{4!}x^4-\displaystyle\frac{1}{6!}x^6+\cdots \right)+j\left(\displaystyle\frac{1}{1!}x-\displaystyle\frac{1}{3!}x^3+\displaystyle\frac{1}{5!}x^5-\displaystyle\frac{1}{7!}x^7+\cdots \right)$$

上の式で、左の()内は「\(\cos x\) 」、右の()内「\(\sin x\) 」の式と同じなので、()内の式を「\(\cos x\) 」と「\(\sin x\) 」にして書き換えると下記になります。

$$e^{jx}=\cos x+j\sin x$$

この式が「オイラーの公式」になります。

べき級数展開の手順について知りたい方は、ブルーバックスの『世界は「\(e\)」でできている』という本を参考にしていただくと良いかもしれません。

この本の内容は、話がわき道に逸れがちなのですが、べき級数展開について分かりやすく書かれていると思います。

「オイラーの公式」に関連しては、もう少し書きたい内容があるのですが、この調子で書いていると、今回もコイルのインピーダンスの計算式について書けなくなりそうなので、今回は止めておきます。

一連の投稿を書き終えたら、今回書きたかった内容を書こうと思います。

コイルのインピーダンスの計算式の簡単な求め方

それでは早速「オイラーの公式」を使って、電流の瞬時値を表す式を「ネイピア数:\(e\) 」で書きます。

$$i(t) = Ie^{j\omega t}$$

次に、前回と同じように、「電圧」「電流」「インダクタンス」の関係式を下に示します。

$$v(t)=L\displaystyle\frac{di(t)}{dt}$$

この式の「\(i(t)\) 」に、上の式「\(i(t)=Ie^{j\omega t}\) 」を入れます。

$$v(t)=L\displaystyle\frac{d(Ie^{j \omega t})}{dt}$$

前回同様、時間で変化しない「電流振幅:\(I\) 」を時間微分の項の前に出します。

$$v(t)=LI\left(\displaystyle\frac{d(e^{j \omega t})}{dt}\right)$$

「\(e^{j \omega t}\) 」を「時間:\(t\) 」で微分します。

$$v(t)=LI(j\omega e^{j \omega t})$$

$$v(t)=j\omega LI e^{j \omega t}$$

ここで、「\(Ie^{j \omega t} =i(t)\) 」を上の式に入れます。

$$v(t)=j\omega L i(t) $$

最後にこの式から、コイルのインピーダンスの計算式「\(Z_L=\displaystyle\frac{v(t)}{i(t)}\) 」を計算します。

$$Z_L=\displaystyle\frac{v(t)}{i(t)}$$

上の式に「\(v(t)=j\omega L i(t)\) 」を入れます。

$$Z_L=\displaystyle\frac{j\omega L i(t)}{i(t)}$$

$$Z_L=j\omega L$$

最後は、前回の投稿と同じ式になりました。

この「オイラーの公式」を学生の頃にきちんと理解していれば、自分にとって「空白」だった部分がもっと早く埋められていたと思うと、少し悔しい気持ちです。

次回は、コンデンサーのインピーダンスの計算式の求め方について、一気に書こうと思います。

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