電気回路_抵抗〔3〕ブリッジ回路(抵抗のΔ-Y変換)
今回は、前回の投稿(抵抗〔2〕)で最後に予告していた抵抗のブリッジ回路です。
基本的なブリッジ回路の解き方
抵抗のブリッジ回路は下になります。
この回路の電流値や抵抗値の計算は、抵抗の直列接続と並列接続の計算方法を単純に使うだけでは難しそうです。
まずは、「抵抗[1]」の最後に書いたキルヒホッフの法則を使って計算式を立ててみます。
キルヒホッフの法則は下の二つでした。
(第一法則)回路網中の任意の接続点に流入する電流の和は 0(零)である
(第二法則)回路網中の任意の閉路を一巡するとき、起電力の総和と電圧降下の総和は等しい
最初に(第一法則)を上の回路図のA点、B点、C点、D点に使って4つの式を立てます。
$$(A点) I =I_1+I_2 ・・ ①$$
$$(B点) I_4=I_2+I_5 ・・ ②$$
$$(C点) I_1=I_3+I_5 ・・ ③$$
$$(D点) I =I_3+I_4 ・・ ④$$
次に(第二法則)をブリッジ回路の4つの一巡する閉路(閉回路)に使って4つの式を立てます。
抵抗は「R1」などではなく、「2Ω」といった抵抗値をそのまま書きました。
(電源→A点→B点→D点→電源)$$27V-1Ω×I_2-1Ω×I_4=0V ・・ ⑤$$
(電源→A点→C点→D点→電源)$$27V-2Ω×I_1-3Ω×I_3=0V ・・ ⑥$$
(A点→B点→C点→A点)$$-1Ω×I_2+1Ω×I_5+2Ω×I_1=0V ・・ ⑦$$
(B点→C点→D点→B点)$$1Ω×I_5-3Ω×I_3+1Ω×I_4=0V ・・ ⑧$$
閉回路を一巡するときに、電源や抵抗を指でなぞっていき、その部品の前後で電圧が上がる場合は「+」下がる場合は「ー」の符号にしています。
これら①~⑧の式を解いていくことで、IとI₁~I₅は求まります。
ただ、この投稿でこの式を解いていくのも大変なので、よかったらこれらの式を解いてみてください。
解き方は人によって違うと思いますが、算出した値が正しいかは①~⑧の式に、求めた値を入れて確認してみてください。
自分も過去に計算したことがありますが、何度か間違えて計算をやり直したと思います。
抵抗のΔ-Y変換を使ったブリッジ回路の解き方
今回の投稿では、抵抗のΔ(デルタ)-Y(スター)変換の計算式を使ってみます。
まずは、抵抗のΔ(デルタ)-Y(スター)変換の回路構成を下に示します。
これらのΔとYの形をした、3本の抵抗で構成される回路には、A点、B点、C点がある点で共通しています。
これらのA点とB点、B点とC点、C点とA点の間の抵抗値には、下に示す関係式が成り立ちます。
$$R_a=\displaystyle\frac{R_{ab}R_{ca}}{R_{ab}+R_{bc}+R_{ca}}$$
$$R_b=\displaystyle\frac{R_{bc}R_{ab}}{R_{ab}+R_{bc}+R_{ca}}$$
$$R_c=\displaystyle\frac{R_{ca}R_{bc}}{R_{ab}+R_{bc}+R_{ca}}$$
これを使って、先ほどのブリッジ回路の電流値などを求めてみます。
上に書いたブリッジ回路のA-B-Cの三角形にΔ回路を当てはめると、下の回路図になります。
この回路図では、R₁はRca、R₂はRab、R₅はRbcに置き換えています。
この点線で囲った部分の回路図をΔ回路からY回路に書き換えると下の回路図になります。
これは、下の直列抵抗と並列抵抗を組み合わせた回路図になります。
それでは、Ra、Rb、Rcを計算します。
$$R_a=\displaystyle\frac{1×2}{1+1+2} Ω=\displaystyle\frac{1}{2}Ω$$
$$R_b=\displaystyle\frac{1×1}{1+1+2} Ω=\displaystyle\frac{1}{4}Ω$$
$$R_c=\displaystyle\frac{2×1}{1+1+2} Ω=\displaystyle\frac{1}{2}Ω$$
この値を回路図に書きます。
(Rc+R3)と(Rb+R4)を計算すると、下記になります。
次に(Rc+R3=7/2Ω)と(Rb+R4=5/4Ω)の合成抵抗を計算します。
$$\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{7}{2}}+\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{5}{4}}}Ω=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{2}{7}+\displaystyle\frac{4}{5}}Ω=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{38}{35}}Ω=\displaystyle\frac{35}{38}Ω$$
ここで、電流:Iを求めます。
$$I=\displaystyle\frac{27}{\displaystyle\frac{1}{2}+\displaystyle\frac{35}{38}}A=\displaystyle\frac{27}{\displaystyle\frac{19}{38}+\displaystyle\frac{35}{38}}A=\displaystyle\frac{27}{\displaystyle\frac{54}{38}}A$$
$$=\displaystyle\frac{27}{\displaystyle\frac{27}{19}}A=\displaystyle\frac{27×19}{27}A=19A$$
次にI₃とI₄を求めます。
I₃とI₄を足し合わせた電流値は19Aなので、下記になります。
$$I=19A=I_3+I_4$$
$$I_4=19A-I_3$$
次に、(Rc+R3)×I₃と(Rb+R4)×I₄は等しいので下記になります。
$$(Rc+R3)I_3=(Rb+R4)I_4$$
$$(Rc+R3)I_3=(Rb+R4)(19-I_3)$$
$${(Rc+R3)+(Rb+R4)}I_3=(Rb+R4)19$$
$$I_3=\displaystyle\frac{(Rb+R4)19}{(Rc+R3)+(Rb+R4)}$$
$$I_3=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{5}{4}×19}{\displaystyle\frac{7}{2}+\displaystyle\frac{5}{4}}A=\displaystyle\frac{5×19}{4×(\displaystyle\frac{7}{2}+\displaystyle\frac{5}{4})}A$$
$$=\displaystyle\frac{5×19}{14+5}A=\displaystyle\frac{5×19}{19}A=5A$$
$$I_4=19A-I_3=19A-5A=14A$$
I₃とI₄の電流を計算するのに、型にはまった解き方をしたので時間がかかりました。すみません。
I=19Aが 分かれば、Ra:0.5Ωで電圧が9.5V低下することがすぐに分かるので、Raの右側の電位は27V-9.5V=17.5Vとなります。
それを(Rc+R3=7/2Ω)と(Rb+R4=5/4Ω)で割ってやればI₃とI₄がもっと簡単に計算できます。
やってみます。
$$I_3=\displaystyle\frac{17.5}{\displaystyle\frac{7}{2}}A=\displaystyle\frac{17.5×2}{7}A=\displaystyle\frac{35}{7}A=5A$$
$$I_4=\displaystyle\frac{17.5}{\displaystyle\frac{5}{4}}A=\displaystyle\frac{17.5×4}{5}A=\displaystyle\frac{70}{5}A=14A$$
I₃とI₄の電流を簡単に計算することができました。
それでは、一気にI₁、I₂、I₅を求めます。
R3×I₃=3Ω×5A=15Vなので、C点の電位は15Vになります。
また、R4×I₄=1Ω×14A=14Vなので、B点の電位は14Vになります。
R5の両端の電位差は15V-14V=1Vで、R5の抵抗値は1Ωなので、I₅=1Aとなります。
そうすると、I₁=I₅+I₃=1A+5A=6Aとなります。
最後に、I₂=I₄-I₅=14A-1A=13Aになります。
R1とR2の両端の電圧で、I₁とI₂の計算結果を確認してみます。
R1の両端の電圧は27V-15V=12Vになるはずですが、R1×I₁=2Ω×6A=12Vで合っています。
R2の両端の電圧は27V-14V=13Vになるはずですが、R2×I₂=1Ω×13A=13Vでこちらも合いました。
ちょっと計算が多くて大変でしたが、何とか電流を求めることができました。
計算の途中でも出てきていますが、A-D間の抵抗値も計算しておきます。
$$R_{A-D}=\displaystyle\frac{27V}{19A}=\displaystyle\frac{27}{19}Ω$$
次回予告
次回は、今回の計算で使用した抵抗のΔ(デルタ)-Y(スター)変換の関係式を求めます。
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