電気回路_抵抗〔5〕テブナンの定理の使い方

抵抗〔3〕で計算した不平衡ブリッジ回路の電流値を計算する別の方法を、まずは簡単な回路で説明します。

テブナンの定理の概要

テブナンの定理は、しばらく使わないと使い方を忘れてしまいます。
自分だけかもですが・・。

でも、とても便利な方法なので使ってみたいと思います。
まずは電池1本と抵抗3本で構成された回路です。

〔元の回路〕

この回路を、下に描いた簡単な等価回路で表します。

〔簡素化した回路〕

このV₀とR₀を求めることで、R3に流れる電流を求めます。

それでは、V₀とR₀の求めていきます。

テブナンの定理の「V₀」の求め方

V₀は、元の回路からR3を取り外したときのA-B間の電圧です。

〔R3を取り外した回路〕

R1、R2に流れる電流はEを(R1+R2)で割ると求まるので、V₀は下記になります。

$$V_0=\displaystyle\frac{E}{R1+R2}×R2$$

テブナンの定理の「R₀」の求め方

R₀は、元の回路のA-Bから左側をみたときの抵抗値になりますが、下の回路図に描いたように、電池(定電圧源)を0Ωとして計算します。

以前「小学5年生より賢いの?を見て思いました。」などで電池には内部抵抗があると書きましたが、ここでは理想的な電池(定電圧源)を想定して、抵抗値を0Ωとします。

上の回路図のA-B間の抵抗値は、抵抗のつながりをよく見ると下の回路図のように書き換えることができ、R1とR2の並列接続であることが分かります。

このことから、R₀は下の式で求まります。

$$R_0=\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R1}+\displaystyle\frac{1}{R2}}=\displaystyle\frac{R1R2}{R1+R2}$$

余談ですが、定電圧源ではなく定電流源の場合は抵抗値が無限大になります。

定電圧源や定電流源を複数組み合わせた計算方法もありますが、それはまた別の投稿で書いてみようと思います。

「V₀」「R₀」「R3」から「I3」を計算

それでは、V₀、R₀、R3からI₃を求める計算式を導きます。

回路は上の回路ので、V₀を(R3+R₀)で割ればI₃を求めることができます。

$$I_3=\displaystyle\frac{\displaystyle\frac{R2E}{R1+R2}}{R3+\displaystyle\frac{R1R2}{R1+R2}}=\displaystyle\frac{R2E}{R3(R1+R2)+R1R2}=\displaystyle\frac{R2}{R1R2+R2R3+R3R1}E$$

これで正しいはずですが、実際の値を入れて計算してみましょう。

実際に数値を入れて正しいかを確認

一例として、下の値を入れてみます。

E=5V、R1=6Ω、R2=5Ω、R3=20Ω

まず、テブナンの定理を使わずに計算します。

最初にR1~R3の合成抵抗を求めます。

$$R1+\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{R2}+\displaystyle\frac{1}{R3}}=6+\displaystyle\frac{1}{\displaystyle\frac{1}{5}+\displaystyle\frac{1}{20}}=6+\displaystyle\frac{20}{4+1}=6+4=10$$

このことから、R1に流れる電流は5V/10Ω=0.5Aになります。

R2とR3の両端の電圧は等しくなることから、R2に流れる電流をI2とすると下記の式を立てられます。

$$I2+I3=0.5 ・・ ①$$

$$R2I2=R3I3 ・・ ②$$

①の式からI2=0.5-I3になるので、これを②の式に代入してI3を求めます。

$$R2(0.5-I3)=R3I3$$

$$0.5R2-R2I3)=R3I3$$

$$R2I3+R3I3=0.5R2$$

$$(R2+R3)I3=0.5R2$$

$$I3=\displaystyle\frac{0.5R2}{R2+R3}=\displaystyle\frac{0.5×5}{5+20}=\displaystyle\frac{2.5}{25}=0.1(A)$$

テブナンの定理を使用せずにI3を計算すると、0.1Aになりました。

次に、テブナンの定理を使って求めた式でI3を計算してみます。

$$I_3=\displaystyle\frac{R2}{R1R2+R2R3+R3R1}E=\displaystyle\frac{5}{6×5+5×20+20×6}5=\displaystyle\frac{25}{30+100+120}=\displaystyle\frac{25}{250}=0.1(A)$$

テブナンの定理で求めた式で計算したI3も0.1Aになりました。

今回の回路では、テブナンの定理の便利さがあまり伝わらないと思いますので、次回は不平衡ブリッジ回路の電流をテブナンの定理を使って求めてみます。

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