電気回路_コンデンサーの動作【直流】〔2〕

〔1〕ではコンデンサーに関連する計算式を書いたので、今回はコンデンサーのイメージが伝わるような内容を書いてみようと思います。

コンデンサーの容量値、電荷、電圧の関係

前回の繰り返しになりますが、コンデンサーに定電圧源を接続したときの回路図と構造イメージ図を下に示します。

コンデンサーに定電圧を加えると、コンデンサーの2枚の向かい合った金属板にプラスの電荷とマイナスの電荷がそれぞれ蓄えられ、2枚の金属板の間には下の式で求まる電位差:Eが生じます。

$$Q=CE :前回投稿の式$$

$$E=\displaystyle\frac{Q}{C} :前回投稿の式を「E=」に変形$$

Qは蓄えられた電荷の量で単位は「C(クーロン)」、Cはコンデンサーの容量値で単位は「F(ファラド)」です。

この式を「C=」に変形すると分かるように、「1C(クーロン)」の電荷を蓄えたときに両端の電位差が「1V」になるコンデンサーの容量値が「1F(ファラド)」です。

$$C=\displaystyle\frac{Q}{E} :前回投稿の式を「C=」に変形$$

自分は「F」をいつも「ファラッド」と言っていますが、一般には「ファラド」と表記するようなので、それに合わせます。

「Q=CE」の式から、電位差:Eが一定でもコンデンサーの容量値:Cが大きくなると、蓄えられる電荷の量:Qが大きくなることが分かります。

また、前回の投稿でコンデンサーの容量値は下の計算式で求まると書きました。

前回の投稿

また、最初にコンデンサーの容量値を「C」としましたが、金属板の面積を「S」として、2枚の金属板の距離を「d」とすると、容量値「C」は下の式で求まります。

$$C=\displaystyle\frac{ε_0ε_sS}{d}$$

・・ここまで・・

このことから、例えば金属板の面積が半分になっても、金属板の間隙も半分になれば容量値:Cは変化しないことが分かります。

金属板の面積と金属板の間隙の比率が変わらなければ、コンデンサーのサイズにかかわらず容量値:Cは変化しないというのは、個人的にはちょっと不思議な感じがします。

コンデンサーを水槽に例えると・・

コンデンサーに蓄えた電荷を、水槽に蓄えた水に置き換えたイメージ図を描いてみました。

これはコンデンサーの役割の一つに対する自分のイメージです。

上側の絵が回路図で、下側の絵が水槽を使ったイメージ図です。

回路図の定電圧源は常に電圧が一定なので、下のイメージ図では水位が常に一定の大きな水槽のイメージです。

回路図右側のコンデンサーは、下のイメージ図では水量が増えると水位が上昇する小さめの水槽のイメージです。

小さめの水槽に例えたコンデンサーの容量値は、この小さめの水槽の底の面積に相当し、水槽内の水量はコンデンサーに蓄えられた電荷量、水槽の水位は電位(電圧)、水槽間のパイプを流れる水流は電流に相当すると思います。

この水槽のイメージで考えると電荷量を求める「Q=CE」という式は、水槽内の水量を求める下の式に置き換えることができるように思います。

水量(m³)=底面面積(m²)×水位の高さ(m)

大きな水槽から流れる水流を知りたいときには「流量計」を使用し、例えば1秒間に0.1ℓの水量が流れると「0.1ℓ/s」と表せますが、電流の場合は水量が電荷量に相当するので「1A(アンペア)」の電流は「1Q/s(クーロン/セカンド)」と表せます。

このように、コンデンサーに電荷を蓄えたり放出したりするような使い方をする場合は、水槽のイメージで考えると分かりやすいのではと思います。

上の図に描いたように、大きな水槽と小さめの水槽の水位が同じになるとパイプの中の水は流れなくなります。

電気回路でも同様に、定電圧源の電圧とコンデンサーの電圧が同じになると電流は流れなくなります。

コンデンサーの電圧と電流のグラフ

この様子を横軸を経過時間、左側縦軸を電圧、右側縦軸を電流にしたグラフを下に示します。

このグラフは、定電圧源をコンデンサーに接続して十分な時間が経過した状態で、コンデンサーの電圧と回路に流れる電流を表したグラフですが、電圧は定電圧源と同じ「E(V)」、電流は「0(A)」となっています。

このグラフは分かりやすいと思いますが、同様のグラフを定電流源を接続した場合や、コイルに置き換えた場合についてもこれから書いていこうと思います。

電圧と電位の違い

ちなみに、ここでは電圧と電位という言葉を同じ意味のように使用していますが、これは水槽で言えば水圧と水位のイメージに少し似ているように思います。

ただ、正確に表現すると、電圧は「任意の2点間の電位差」で、電位は基準点を0Vとしたときの「基準点からの電気的な高さ」です。

基準点は指定が無ければ大地(アース)を0Vとしますが、「ここを0Vとしたときに、ここの電位は何V?」などと言うこともできます。

また、電位差と電圧は同じ意味で使用されます。

必要な時には明確にする必要がありますが、自分の場合は普段あまり意識せずに電圧、電位、電位差、両端の電圧などとしゃべっているような気がします。

このブログの中の投稿でも、「電圧?電位?」と疑問をもたれることがあるかもしれません。

ご連絡をいただければ、確認して正しい表現に修正します。

次回は、定電圧源を定電流源に変更した場合について書いていこうと思います。

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