交流電圧を加えたコンデンサーに流れる電流の周波数特性(2)
今回は、コンデンサーに加える交流電圧の周波数を、5Hzから500Hzまで2~2.5倍ずつ上げることで、前回よりも変化の過程が分かるように書いていこうと思います。
各周波数のグラフの説明
一つの周波数に対して、2種類のグラフを左右に並べていきます。
左側には、時間軸と電流軸の値を固定したグラフを置きます。
500Hzを例にとると、下のようなグラフになります。
青の細い線は電圧で、右の縦軸が電圧値になります。
赤の太い線は電流で、左の縦軸が電流値になります。
時間軸と電流軸の値を固定するのは、例えば500Hz、200Hz、100Hzなど比較的周波数が近い3つの周波数に限定し、見た目でイメージできるようにしました。
次に右側に置くグラフですが、時間軸方向は繰り返し波形の1.5周期分、電流軸方向は上下に各5目盛りをとり、電流振幅は4目盛りに統一しました。
こちらも500Hzを例にとると、下のようなグラフになります。
このグラフも青の細い線は電圧で、赤の太い線が電流になります。
500Hzから5Hzまでの電流波形(と比較用の電圧波形)
最初に500Hz、200Hz、100Hzのグループの電流と電圧のグラフです。
【500Hz】
【200Hz】
【100Hz】
左側の波形を見ると、周波数が下がることでコンデンサーに流れる電流が減ることが分かります。
また、右側の波形を見ると、周波数が変化しても電圧と電流の位相関係は変化しないことが分かります。
次は、100Hz、50Hz、20Hzのグループのグラフです。
上と下は同じ100Hzのグラフですが、左下のグラフは経過時間のひと目盛りを2.5msから12.5msに、電流軸のひと目盛りを2.5Aから0.5Aに変えています。
オシロスコープの画像でいうと、横の時間軸を縮めて、縦の電流軸を拡大したイメージです。
【100Hz】
【50Hz】
【20Hz】
これらの波形も、500Hz、200Hz、100Hzのときと同様の波形です。
最後に、20Hz、10Hz、5Hzのグループのグラフです。
先ほどと同様、上と下は同じ20Hzのグラフですが、左下のグラフは経過時間のひと目盛りを12.5msから50msに、電流軸のひと目盛りを0.5Aから0.1Aに変えています。
【20Hz】
【10Hz】
【5Hz】
電圧源の周波数が500Hzから5Hzまで変化したときに、コンデンサーの電流波形がどのように変化するかを一気に並べて比較してみました。
電圧と電流の波形から分かること
前の項の波形から分かることを書いてみます。
① 電流の位相
コンデンサーに流れる電流波形は、周波数が500Hzから5Hzまで変化しても常に電圧波形に対して「90度位相が進んでいる」ことが分かります。
ただ、電圧波形と電流波形の時間差は、500Hzで0.5ms、5Hzで50msと変化します。
一覧表にすると、下記になります。
周波数変化で時間差が変化する事象は、まだしばらくの間は利用しませんが、周波数が変わっても位相差が変わらないことは頭に入れておいてください。
② 電流の振幅
上の波形を見比べると分かるように、周波数に比例して電流振幅が増減します。
その様子をまとめると、下の表になります。
周波数を横軸、電流振幅を縦軸にしてグラフ化すると下記になります。
このグラフから、周波数と電流振幅は正比例しているように見えますが、20Hz以下では点が重なっているので正確な状態が分かりません。
これを、「両対数グラフ」というグラフを使って表すと下記になります。
このグラフを見ると、点が等間隔に近い感じで一直線に並んでいることから、周波数と電流振幅は正比例の関係にあることが分かります。
通常のグラフは、例えば周波数が100Hz間隔の場合には見やすいのですが、今回のように周波数が2~2.5倍ずつ変化する場合は「両対数グラフ」の方が見やすくなります。
次回は、この「両対数グラフ」の縦軸を、「dB表示」で表すグラフにしていこうと思います。
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