電気回路_コンデンサーのエネルギー〔3〕
今回はコンデンサーの中の電界強度の話を中心に書いてみようと思います。
コンデンサーの中の電界強度のおさらいと説明
前回もコンデンサーの中の電界強度(電界の強さ)について書きましたが、
下のような絵を使用しました。
前回との違いは、2枚の板に定電圧源(電池)の回路を描き足した点です。
2枚の板の間に「V」の電位差を与えると、コンデンサーには電荷「Q」が蓄えられます。
この電荷「Q」の値は、下の式で求めることができます。
$$Q=CV$$
これまでもコンデンサーの容量値として「C」を何度か使用してきたと思いますが、「C」は下記の式で求めることができます。
$$C=\displaystyle\frac{εS}{d}$$
前回、下の絵は貼り付けただけであまり説明しませんでしたが、下の絵に描いているように「S」は板の面積です。
「ε」は板の間に入っている物質の「誘電率」です。
物理学的に厳密な「誘電率」の説明は自分には無理ですが、もう少し踏み込むと「ε」は下のように分解されます。
$$ε=ε_rε_0$$
「\(ε_0\)」は「真空中の誘電率」で、おそらく厳密には「電気定数」とよばれています。
この「真空中の誘電率:\(ε_0\)」に対して、例えば水@20℃の誘電率は約80倍なので、「水の比誘電率:\(ε_r\)」は約80となります。
ちなみに「空気の比誘電率:\(ε_r\)」は1.00059なので、空気の誘電率は真空とほぼ同じです。
「真空中の誘電率:\(ε_0\)」の具体的な値は約「\(8.854×10^{-12} \)」で、単位は\((F/m)\)です。
\((F/m)\)の\((F)\)はコンデンサーの容量の単位で「ファラッド」、\((m)\)は長さの単位で「メートル」です。
先ほどの式を、自分は下の式のイメージで理解しています。
$$C=\displaystyle\frac{εS}{d}=\displaystyle\frac{S}{\left(\displaystyle\frac{d}{ε}\right)}=\displaystyle\frac{S}{\left(\displaystyle\frac{d}{ε_rε_0}\right)}=\displaystyle\frac{S}{\displaystyle\frac{1}{ε_r}\left(\displaystyle\frac{d}{ε_0}\right)}$$
この式のイメージは、2枚の板の間の誘電率が大きくなると、2枚の板の間の距離が縮まるイメージです。
例えば、コンデンサーを構成する2枚の板を空気中に8mm離して置いていたとして、その2枚の板をそのまま水の中に入れると板の間隔が1/80の0.1mmに近づいたのと同じ効果があり、容量値は80倍に増えます。
さて、ここからは電界の話を書こうと思います。
2枚の板の間隔と電界強度の関係
まずは、先ほどの絵を再度貼り付けます。
このコンデンサーから定電圧源(電池)を取り外すと下記になります。
このコンデンサだけを取り出すと下記になります。
前の項でも書いたように、板の間隙が「d」の場合の電位差は「V」で電界の強さは「\(\displaystyle\frac{V}{d}\)」となります。
次に、そのままの状態で2枚の板の間隙を2倍の「2d」に広げると下の絵のようになります。
板の間隙が2倍の「2d」になると、電位差は上の絵に書いたように容量値:Cが半分になるので「2V」になります。
そうすると、電界の強さは「\(\displaystyle\frac{2V}{2d}=\displaystyle\frac{V}{d}\)」となり、板の間隙が「d」のときと同じです。
今度は、2枚の板の間隙を半分の「0.5d」にした絵を下に示します。
板の間隙が半分の「0.5d」になると、電位差は上の絵に書いたように容量値:Cが2倍になるので「0.5V」になります。
そうすると、電界の強さは「\(\displaystyle\frac{0.5V}{0.5d}=\displaystyle\frac{V}{d}\)」となり、板の間隙はやはり「d」のときと同じです。
最後に、2枚の板の間隙をn倍の「nd」にした絵を下に示します。
板の間隙をn倍の「nd」にすると、電位差は上の絵に書いたように容量値:Cが\(\displaystyle\frac{1}{n}\)倍になるので「nV」になります。
そうすると、電界の強さは「\(\displaystyle\frac{nV}{nd}=\displaystyle\frac{V}{d}\)」となり、板の間隙が「d」のときと同じです。
この結果から、2枚の板に蓄えた電荷の量が一定なら、板の間隔が広がっても狭くなっても、2枚の板の間の電界の強さは変わらないことになります。
時間が無くなったので、このときの2枚の板の静電エネルギーについては次回書きます。
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