コイルに加えた交流電圧・電流〔3〕(交流電流をコイルに印加)

前回と前々回は、コイルに交流電圧源を接続した場合について書きましたが、今回は電流源を接続した場合について書きます。

想定する回路と関係式

想定する回路は下記になります。

また、使用する関係式は「コイルに加えた交流電圧・電流〔1〕」でも使用した下の式になります。

$$V(t)=L\displaystyle\frac{dI(t)}{dt}$$

この式を使って、電流から電圧を具体的に計算できる式にしていきます。

電流の変化から電圧の変化を計算する式を求める

それでは、さっそく先ほどの式の「\(I(t)\) 」に「\(I(t)=I_{peak} \sin (\omega t) \) 」を入れます。

$$V(t)=L\displaystyle\frac{dI(t)}{dt}$$

$$V(t)=L✕\displaystyle\frac{d(I_{peak} \sin (\omega t))}{dt}$$

「\(I_{peak}\) 」は「時間:\(t\) 」が変化しても変わらないので、微分の式の外に出すことができます。

$$V(t)=L I_{peak}✕\displaystyle\frac{d(\sin (\omega t))}{dt}$$

微分の公式を使って、「\(\sin (\omega t) \) 」を「時間:\(t\) 」で微分すると「\(\omega\cos (\omega t)\) 」になるので、上の式は下の式になります。

$$V(t)=L I_{peak}✕\omega\cos (\omega t) $$

$$V(t)=\omega L I_{peak}\cos (\omega t) $$

計算式に具体的な値を入れてグラフを作成

ここからは、具体的な値を入れていきます。

これまでと同じですが、使用するのは下記の値になります。

・ピーク電流値:\(I_{peak}=\sqrt 2≒1.41(A)\)

・インダクタンス値:\(L=\displaystyle\frac{1}{\pi}≒0.32(H)\)

・周波数:\(f=50(Hz)\)

それでは上の値を使って、\(V(t) \)をグラフ化できる式にしていきます。

$$V(t)=\omega L I_{peak}\cos (\omega t) $$

最初にこの式の「\(\omega\) 」を、「\(\omega=2 \pi f\) 」で表します。

$$V(t)=2\pi f L I_{peak}\cos (2 \pi f t) $$

次に、この式に「\(I_{peak}\) 」、「\(L\) 」、「\(f\) 」の値を入れます。

$$V(t)=2\pi f L I_{peak}\cos (2 \pi f t)$$

$$V(t)=2\pi✕50✕\displaystyle\frac{1}{\pi}✕1.41✕\cos (2 \pi✕50✕t)$$

$$V(t)=100✕\displaystyle\frac{\pi}{\pi}✕1.41✕\cos (100 \pi t)$$

$$V(t)=141\cos (100 \pi t)$$

続いて、\(I(t)\)の式にも具体的な数字を入れます。

$$I(t)=I_{peak} \sin (\omega t) $$

$$I(t)=I_{peak} \sin (2\pi f t) $$

$$I(t)=1.41 \sin (2\pi 50 t) $$

$$I(t)=1.41 \sin (100\pi t) $$

それでは、これらの式をグラフ化します。

まずは「\(I(t)\) 」ですが、「経過時間:-5~25ms」のグラフを下に示します。

右のグラフは横軸が経過時間で、縦軸が電流値です。

左の単位円のグラフは位相(角度)を表していて、「経過時間:0ms」の時の位相(角度)を太い赤線で示しています。

同様に「\(V(t)\) 」の「経過時間:-5~25ms」のグラフを下に示します。

このグラフも「\(I(t)\) 」のグラフと同じように、左の単位円のグラフは位相(角度)、右のグラフは横軸が経過時間、縦軸が電圧値の波形を表しています。

「電流」の赤い線の位相(角度)を基準にすると、「電圧」の青い線の位相は「\(\displaystyle\frac{\pi}{2}(rad)=90(deg)\) 」進んでいます。

次回は、この「電流」と「電圧」の関係を波形のイメージで説明していこうと思います。

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