交流電圧を加えたコンデンサーと抵抗に流れる電流〔2〕(振幅と位相を一つのグラフに表示)
前回の投稿で、「近いうちに極座標を使って振幅と位相の両方を表す」グラフを書く予定と書きましたが、今回書くことにしました。
前回の投稿
今回は、前回の投稿で書いた内容をベースに書いていきます。
そのため、繰り返しにはなりますが、まずは前回の回路図を下に貼り付けます。
この回路図の電圧値なども前回と同じ、下記とします。
・交流電圧源の電圧値:100Vrms ⇒ 電圧振幅\((V_{peak})\):141V
・周波数\((f)\):50Hz
・抵抗の抵抗値\((R)\):141Ω
・コンデンサーの容量値\((C)\):22.5μF ⇒ インピーダンス\(\left(\displaystyle\frac{1}{2 \pi f C} \right) \):141Ω@50Hz
上の値を使うと、交流電圧の波形「\(V(t)=V_{peak}\sin (\omega t) ≒141\sin (2 \pi ft) \) 」は下記になります。
このとき、抵抗に流れる電流(青色)、コンデンサーに流れる電流(赤色)、抵抗とコンデンサーに流れる電流を足し合わせた合成電流(紫色)の波形と位相は下のようになります。
前回も書きましたが、左の円座標は位相情報だけで、電流の振幅情報は含んでいません。
今回は左のグラフを極座標にして、電流振幅の情報も表示します。
ここで、円座標と極座標は自分なりの解釈で使い分けていますので、違和感をお持ちでしたらご連絡いただければと思います。
振幅と位相を表すグラフ
それでは、電流の位相情報に、振幅情報を追加した極座標グラフを下に示します。
横軸は、電圧波形と位相が同じ電流波形の振幅を表していて、抵抗に流れる電流の振幅「\([Ir]\) 」を青色の矢印の長さで示します。
縦軸は、電圧波形に対して位相が90度(π/2 ラジアン)進むか遅れた電流波形の振幅を表していて、コンデンサーに流れる位相が90度進んだ電流の振幅「\([Ic]\) 」を赤色の矢印の長さで示します。
ちなみに横軸の左半分は、電圧波形と位相が180度ずれて、波形の上下が逆になった電流波形の振幅を表しますが、マイナスになっているのは数学的な表現の都合と考えた方が良いかなと思います。
今回の一連の投稿で左半分は使いませんが、イメージしやすいと思うので上下左右を対称に描きました。
ただ、グラフの右上部分が小さくなるので、右上だけを切り取った画像を下に貼り付けます。
この画像に表示していない縦軸の下半分は、電圧波形に対して位相が90度(π/2 ラジアン)遅れた電流波形の振幅を表す場所で、具体的にはコイルに流れる電流の振幅が入るのですが、こちらも今回の投稿では使用しません。
そして、青色と赤色の二つの矢印を足し合わせた紫色の矢印ですが、これが抵抗とコンデンサーに流れる電流を合成した電流の位相と振幅を表します。
極座標グラフの表現上、電流振幅にプラスとマイナスがありますが、電流振幅は原点(縦軸と横軸が交差している点)から矢印先端までの長さなので、矢印の長さが電流振幅を表しており、電流振幅はプラスやマイナスの符号がつかない絶対値です。
そのため、抵抗とコンデンサーに流れる電流を合成した電流振幅は、下記で計算できます。
・抵抗に流れる電流振幅\([Ir]\):1.0A
・コンデンサーに流れる電流振幅\([Ic]\):1.0A
・抵抗とコンデンサーに流れる電流振幅\([Ir+Ic]\):
$$[Ir+Ic]=\sqrt{[Ir]^2+[Ic]^2} $$
$$[Ir+Ic]=\sqrt{1^2+1^2} $$
$$[Ir+Ic]=\sqrt{1+1}=\sqrt 2≒1.414(A)$$
またグラフが見えなくなったので、もう一度画像を貼ります。
合成した電流の振幅は上で計算できたので、今度は位相差を計算します。
合成した電流の位相差「\(\theta_{r+c}\) 」は、「\(\arctan x \)(アークタンジェント_\(x\))」を使って計算できます。
「\(\arctan x \) 」は「\(\tan^{-1} x\) 」とも書きます。
計算式は下記になります。
$$\theta_{r+c} =\arctan \left(\displaystyle\frac{[Ir]}{[Ic]}\right)$$
Excelで計算する場合は「=ATAN([Ir]/[Ic]) 」で計算できます。
上の「\(\theta_{r+c}\) 」は、Excelのセルに「=ATAN(1/1) 」と入力すると「0.7854(ラジアン) ⇒ π/4」と表示されます。
位相差の単位を、「ラジアン」ではなく「度」で表示する場合は、Excelに入れる式を「=DEGREES(ATAN(1/1)) 」にすると、計算結果が「45(度)」になります。
ただ、Excelでも分母が「0」になるとエラー表示になるので注意が必要です。
その場合、分子の値次第ですが、例えば「1E-100 」など、ほぼ「0」と見なせる数字を入れると、可能な範囲で近い値をExcelが計算してくれます。
次回は、この極座標グラフも使いながら、周波数を5Hzから500Hzまで変化させたときの振幅と位相の変化について書く予定です。
ただ、その投稿の前に、一回だけ季節ネタをはさみたいなと思っています。
よろしければ以下のバナーをクリックしていただけると励みになります!
にほんブログ村
人気ブログランキング