100円ショップで買った超音波式加湿器の高電圧パルス発生回路(基板から推測しました)

先週の投稿で書いた超音波式加湿器の高電圧パルス発生回路ですが、ちょっと気になったので基板から回路を読みとりました。

高電圧パルス発生回路

この超音波式加湿器で気になった回路は、高電圧の発生回路です。

最初に思ったのは、USB電源の5Vから数10Vの直流の電源電圧をつくり、その電源電圧から圧電素子に加える高電圧のパルス信号を作るのかなと思ったのですが、ダイオードなどを使用した電源回路が見当たりません。

下に基板の表と裏の画像を示します。

この基板を見ると、高い電圧を発生させる回路は、ほぼ「昇圧用コイル」と「スイッチング用トランジスタ」くらいでした。

この基板から読みとった昇圧回路を下に示します。

「トランジスタ」は「バイポーラトランジスタ」の回路記号で描きましたが、実際にはおそらくON/OFF制御が得意な「ユニポーラトランジスタ」である「FET」というトランジスタが使われていると思います。

「コイル」は、最初は単純な2端子の「コイル」だと思いましたが、よく見ると4端子でした。

取り外してみないと分かりませんが、実質的には下のような3端子の「コイル」だと思います。

このコイルの名称は「巻線磁気コア昇圧インダクタ」と書かれていました。

下の「応用参考」の回路図を見ると、メロディIC出力の信号を「トランジスタ」と「コイル」を使って信号(の電圧振幅)を大きくして、それを「圧電スピーカー(BZ1)」に加えて音を出す回路のようです。

ただ、この方式だと信号波形が歪んでしまうので、あまり良い音質は期待できないと思います。

さて、基板から読みとった回路をもう一度貼り付けますが、「応用参考」の回路にちょっと似ています。

この回路は、下記のように動作すると思います。

① 「トランジスタ」がONすると、赤い実線のように電流が流れる。

② 「トランジスタ」がOFFすると、行き場を失った電流が赤い点線のように流れる。

③ 「VH+」と「VH-」に接続されている圧電素子は高抵抗なので、コイルから流れてくる電流で両端に高い電圧が発生。

④ 再び「トランジスタ」がONすると、赤い実線のように電流が流れ、「昇圧用コイル」の下半分に流れる電流は減少し、「VH+」と「VH-」の間の電圧は低下。

細かい点は異なる点があるかもしれませんが、大まかには①~④を繰り返して「VH+」と「VH-」の間に高電圧のパルスが発生すると思います。

コイルの動作のおさらい

「コイル」に一定の電圧を加えると、「コイル」に流れる電流は一定の傾斜で増えていきます。

電流が流れている「コイル」に加えていた電圧をOFFにしても、「コイル」に流れる電流はすぐにはゼロになりません。

以前の投稿「電気回路_コイルのエネルギー〔4〕」に書きましたが、交通安全標語の「車は急にとまれない」と同様に、コイルに流れる「電流は急にとまれない」のです。

そのため、「コイル」をON/OFFする回路では「コイル」周辺の部品を高電圧で壊すことがあり、場合によっては「ダイオード」などを使った保護回路が必要になります。

この高電圧発生回路は、「コイル」に流す電流をON/OFFして、意図的に高電圧を発生させています。

「コイル」の仕様などが不明ですが、電圧の振幅は数10Vあると思われ、もしかすると100Vくらいあるかもしれません。

ただし、ここでの100Vは振幅なので、実効値だと35Vくらいになります。

近いうちに、この超音波式加湿器の回路全体の動作について大まかに書こうと思います。

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