直流と交流の違い〔5〕(角周波数:ω=2πf)

時間の経過とともに変化する「\(V_{AC}(t)\)」を表す式を求めるため、今回は「\(\sin\theta\)」を経過時間「\(t\)」で表す方法を考えます。

「sinθ」を「t」で表す準備(1)-周波数の説明-

「\(\sin\theta\)」を経過時間「\(t\)」で表すためには、「\(t\)」で「\(\theta\)」を表す必要があります。

この説明に使用する絵を下に示します。

同じような絵が何度も出てきますが、今回の絵は右のグラフの横軸が「角度」と「経過時間」になっています。(文字が小さくてすみません)

「直流と交流の違い〔2〕」などで描いたAC100Vのグラフは、横軸を「経過時間」にしていました。

そのときのグラフは、東日本で使用されているAC100Vの「周波数」である「50Hz(ヘルツ)」の波形でした。

この「周波数」とは、一定の変化を繰り返す波形において、1秒間での繰り返し回数になります。

単位には「Hz(ヘルツ)」を使用しますが、その意味から「c/s(サイクル_パー_セカンド)」という単位でも表せます。(s:セカンドとは秒のことです)

繰り返しのことを「サイクル」といい、1回の繰り返しは1サイクル、50回の繰り返しは50サイクルで、1秒間に50回繰り返すと50 c/s(サイクル_パー_セカンド)で、これが50 Hz(ヘルツ)になります。

50 Hz(ヘルツ)の波形は、1秒間に同じような変化を50回繰り返すので、1回の変化にかかる時間は1秒を50で割り算した0.02s(秒) = 20ms(ミリ秒 or ミリセカンド)になります。

このことから、上の波形の1サイクルは角度で360 deg(2π rad)、経過時間で20 msになります。

この関係は、上の絵の右のグラフの横軸と一致しています。

少し余談ですが、「/」を「パー」と書いていますが、これは「パーセント」の「パー」と同じ言葉で、「セント」は「百」のことなので「パーセント」は「百分のいくつ」かを表します。

「ppm」という表現もありますが、これは「parts per million(パーツ_パー_ミリオン)」の頭文字で「百万分のいくつ」かを表します。

ここで使用している「/(パー)」は、これらと同じ意味です。

「sinθ」を「t」で表す準備(2)-経過時間から角度を計算-

それでは、経過時間「\(t\)」で角度「\(\theta\)」を表す方法を考えます。

まず、周波数と経過時間の単位を考えると、周波数は「c/s(サイクル_パー_セカンド)」、経過時間は「s(セカンド)」なので、周波数と経過時間の掛け算がサイクル数になることが分かります。

上の絵を、もう一度示します。

周波数と経過時間の掛け算がサイクル数になるので、これに1サイクルの角度「2π」を掛けると経過時間での角度が求まります。

これを計算式で表すと、下記になります。

$$\theta=2\pi ft$$

一応、記号の説明も書いておきます。

\(\theta\):角度(単位はrad_ラジアン)

\(2\pi\):1サイクル当たりの角度(単位はrad/c_ラジアン_パー_サイクル)

\(f\):周波数(単位はHz_ヘルツ、またはc/s_サイクル_パー_セカンド)

\(t\):経過時間(単位はs_セカンド)

計算式の右辺も左辺も単位は「rad(ラジアン)」になるので大丈夫そうです。

「sinθ」を経過時間「t」で表す方法

ここまできたら、「\(\sin\theta\)」を経過時間「\(t\)」で表すのは簡単ですね。

「\(\sin\theta\)」を経過時間「\(t\)」で表す計算式を下に示します。

$$\sin\theta=\sin(2\pi ft)$$

これでも良いのですが、「\(2\pi f\)」の部分を「\(\omega\)(オメガ)」という記号に置き換え、これを「角周波数」とよぶことが多いです。

「角周波数:\(\omega\)(オメガ)」の単位は、前の項の「\(2\pi\)(rad/c)」と「\(f\)(c/s)」の掛け算なので「\(2\pi f=\omega\)(rad/s)」になります。

「\(\omega\)」を使うと、上の計算式は下のようになります。

$$\sin\theta=\sin(\omega t)$$

この投稿を書いていて気づきましたが、周波数には「Hz(ヘルツ)」という専用の単位があるのに、角周波数にはありません。

振り返ってみると、角周波数「\(\omega\)」は計算でよく使いますが、角周波数を具体的な数値で表現したり、資料に書くことはなかったように思います。

特に必要がなかったので専用の単位が付与されなかったのだと思いますが、ちょっと意外でした。

次回は、やっと「\(V_{AC}(t)\)」について書くことができそうです。

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