直流と交流の違い〔7〕(電源に接続した抵抗:100Ωでの消費電力)
書いている目的を忘れそうになりますが、「直流と交流の違い〔2〕」で書いたように、AC100Vの変化がどうして「+141V」から「-141V」なのかを書いていきます。
DC100VとAC100Vの電圧のおさらい
ここで、もう一度直流のDC100Vと、交流のAC100Vの波形を載せておきます。
この波形の青い線が直流のDC100Vで、常に100V一定の電圧です。
黒い線はGND(グランド)で、こちらは0V一定です。
一方の赤い波線はAC100Vで、「+141V」から「-141V」くらいまで電圧が変化しています。
AC100Vについてもう少し具体的に書くと、下の画像に示す壁のコンセントの左側がグラフの黒いGND線で、右側が赤い波線になります。
右側と左側で、プラグを差し込む幅が異なっていますので、ご自宅のコンセントを確認してみてください。
DC100VとAC100Vに接続した抵抗の消費電力
直流のDC100Vに、抵抗:Rを接続した回路図を下に示します。
赤い矢印は、流れる電流の向きです。
このとき、「抵抗:\(R\) 」で消費する「電力:\(P_{DC}\) 」は下の式で求めることができます。
$$P_{DC}=V_{DC} I=V_{DC} \displaystyle\frac{V_{DC}}{R} =\displaystyle\frac{(V_{DC})^{2}}{R}$$
次に交流のAC100Vに、「抵抗:\(R\) 」を接続した回路図を下に示します。
赤い矢印が上方向と下方向があるのは、VACの「L」の電圧が、「N」に対してプラス側になったりマイナス側になったりして、電流の流れる向きが変わるためです。
同様に、この「抵抗:\(R\) 」で消費する「電力:\(P_{AC}\) 」は下の式で求まります。
$$P_{AC}=V_{AC} I=V_{AC} \displaystyle\frac{V_{AC}}{R} =\displaystyle\frac{(V_{AC})^{2}}{R}$$
イメージとしてはこのような式になりますが、交流電圧「\(V_{AC}\) 」は時間とともに変化するのでこれを「\(V_{AC}(t)\) 」とし、「時間:\(t\) 」で表す式にしました。
$$V_{AC}(t)=V_ {peak} \sin (\omega t) $$
「\(V_{peak}\)」や「\(\sin (\omega t) \)」は前回までの投稿で説明した内容で、下のグラフのようになります。
横軸の「0~20」は経過時間で単位は「ms」です。
この「経過時間:\(t\)」(単位はs)と「角周波数:\(\omega\)」(単位はrad/s)をかけると単位が「rad(ラジアン)」の角度になります。
この「\(V_{AC}(t)=V_ {peak} \sin (\omega t)\) 」を、その上の式の「\(V_{AC}\) 」に入れると、「抵抗:\(R\) 」の消費電力を表す式は下記になります。
$$P_{AC} (t)=\displaystyle\frac{(V_{AC})^{2}}{R}=\displaystyle\frac{(V_ {peak} \sin (\omega t))^{2}}{R}$$
「DC100V」と「AC100V」の消費電力のグラフ
「DC100V」と「AC100V」の消費電力を計算する式が導けましたので、横軸を経過時間にしてグラフ化してみます。
「抵抗値:R=100Ω」、「AC100V」の「周波数:f=50Hz」とすると、「DC100V」と「AC100V」の消費電力の計算式は下記になります。
$$P_{DC100V}=\displaystyle\frac{(V_{DC})^{2}}{R}=\displaystyle\frac{100^{2}}{100}=100$$
$$P_{AC100V} (t) =\displaystyle\frac{(V_ {peak} \sin (\omega t)) ^ {2}}{R}$$
$$=\displaystyle\frac{(141 \sin (2\pi ft)) ^ {2}}{100} $$
$$ =\displaystyle\frac{(141 \sin (2\pi 50t)) ^ {2}}{100} $$
$$=\displaystyle\frac{(141 \sin (100\pi t)) ^ {2}}{100} $$
上の式で計算した消費電力のグラフを、電圧のグラフに並べて置きました。
二つのグラフは、横軸の経過時間をそろえています。
赤色の「AC100V」の線を見ると、上の電圧が1回上下する間に、下の消費電力は2回上下することが分かります。
この消費電力のグラフから、赤色の「\(P_{AC100V} (t)\)」を平均すると、青色の「\(P_{DC100V}\)」と同じになることが視覚的に分かると思います。
今回はあらかじめ「\(V_ {peak}=141V\) 」として、接続した抵抗での消費電力が、「\(DC100V\)」の場合と「\(AC100V\)」の場合で等しくなることを確認しました。
次回は逆に、「\(DC100V\)」と「\(AC100V\)」に接続した抵抗での消費電力が等しくなる場合に、「\(V_ {peak}=141V\) 」になることを計算していきます。
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